経済の急成長により大きな発展を遂げる中国マーケット。歴史の浅いセキュリティ産業などではノウハウを学ぶために日本企業の支援が必要だという。しかし、協力関係を築くには、中国への深い理解が求められる。
中国のセキュリティ大手である中国安防技術有限公司(CSST)は、このたび開催したセミナーにおいて、中国のセキュリティ市場動向を紹介するとともに、海外企業が中国進出する上での課題について言及した。副社長で国際アライアンス&インテグレーテッドマーケティングセンター長を務める郭承和氏は、「(中国に対して)日本企業はパートナーシップだけでなく、相手を尊重しフレンドシップを築く必要がある」と強調した。
広東省深センに本社を構えるCSSTは、企業や銀行、商業施設などに向けて、防犯カメラやセキュリティシステムなどのハードウェア製品を主に提供する。北京や上海などの沿岸都市だけでなく、西安や成都など内陸部にも大規模な収益拠点を持つのが強みだ。2001年に創業した後、07年秋にはニューヨーク証券取引所に上場しており、国外からの注目も集まっている。
現在中国のセキュリティ市場は、年率20〜30%のペースで急成長を続けている。1万5000ものセキュリティ関連会社がひしめき合い、市場規模は1兆5000億円に達する。01年の米同時多発テロを契機に中国でも安全に対する意識が高まり、建国以来初めてとなる政府主導のセキュリティ対策「平安都市」建設プロジェクトが立ち上がった。同プロジェクトは、治安管理や都市情報の監視などを660都市で推進する。加えて、08年の北京五輪、2010年の上海万博などに向けた安全対策の強化も追い風となり、セキュリティ市場は2010年に3兆円規模になるとみられる。
こうした中、今後中国のセキュリティ産業がさらに成長するためには、優秀な人材の長期的な確保が重要になってくる。郭氏は「日本企業はマネジメント、人材教育、品質管理などの分野で中国企業にアドバイスできる立場にある」と期待する。
ただし、日本企業が中国でビジネスを成功させるには、「単にパートナーシップを強めるだけでは駄目で、中国の文化を理解して友好関係を築くことが必要」と郭氏は指摘した。かつて台湾のPCメーカー大手のエイサーに在籍していた同氏は、創業者であるスタン・シー氏の体験を例に説明した。
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