会社の業績は良好か? 問題があるとしたら、それはどこなのか? この質問にあなたは即座に答えられるだろうか? それができないとしたら、あなたの会社もそろそろ業績管理ソフトの導入を検討する時期かもしれない。
イリノイ州に本社を置くオーラルケア用品メーカー、モートン・グローブ・ファーマシューティカルの上級ビジネスアナリスト、チャーリー・サンダース氏の元には、以前、社内のさまざまな部門から、自分たちの業績を示す“パフォーマンス”値を教えてほしいという要望が数多く寄せられた。そうした声に応じるために、同氏は急いでさまざまなExcelスプレッドシートに目を通さなければならなかった。
販売部門はどの製品が注目を集めているかや、どの業者が売り上げを伸ばしているかを知りたがった。経理部門は月末に会計を締めるとき、必要なデータをそろえるのに3日を要していた。業績評価値を独自に設定する部門もあったが、それらの数値は必ずしも部門間で比較評価できるものではなかった。
そこでサンダース氏は、モートン・グローブの経営に、業績管理(BPM:Business Performance Management)ソフトウェアを導入することにした。ビジネス・オブジェクツが提供するその製品は、主要な3つのシステム─―エンタープライズリソースプランニング(ERP)、コントラクト、チャージバック─―で構成され、経理から販売までの6つの部門向けに標準化された指標を用いてレポートを作成、業績評価値を算出する。
2年前にBPMを導入して以来、モートン・グローブでは事実上、それらのレポートに基いて経営が進められている。多くの部門で、BPMのデータを掘り下げ、目標達成までの進捗状況をチェックし、意思決定に用いているのだ。販売部門は定期的に20種類のレポートを、また研究部門は10種類のレポートを作成している。今年から購買部門とサプライチェーン部門がBPMシステムに移行し、レポート作成を開始する。経理部門は、粗利益、販売数、予算実績など、50種類ものレポートを月次ベースで作成している。これまでのように会計を閉じるまでに3日もかかることはなくなり、必要なデータは1日で収集できるようになった。監督官庁に提出する書類も、従来は必要な情報を集めるだけで2、3日要していたが、BPMの導入後は「わずか15秒で完了するようになった」とサンダース氏。
企業業績管理(CPM)とも呼ばれるBPMは、比較的新しい用語だ。BPMは、予算計画および予測、財務連結、財務および法定レポートの作成、収益分析、スコアカードの5つの基本的なアプリケーションのスイートと考えることができる。コアプロセスには、組織の戦略に関連する主要業績評価指標(KPI)のモデリング、分析、モニタリングが含まれる。このスイートはしばしばERPシステムの上に置かれ、生産から販売まで多くのシステムに関与する。
ビジネスインテリジェンス(BI)エンジンは本質的なデータを提供し、ビジネスプロセス管理ツールはプロセスを最適化する。それに対して、BPMは業績を評価するための指標を使って“スコアカード”やレポートを提供する。基本的に、BPMは戦略目標を定め、その目標に対する業績の評価と管理を可能にするものだ。英国に本社のあるブロア・リサーチのアナリスト、ゲリー・ブラウン氏は、「CPMは多様なシステムの情報を1つのシステムにフィードし、データを集約して数値を導き出す」と説明する。
BPMとBIには強い関連性がある。しかし同じものではない。これら2つの技術の違いについて、サンダース氏はこう語る。「もしある製品に関して、BPMのレポートに販売不振の傾向が見えるなら、BIからデータを引き出し、他のレポートと重ね合わせて問題点を探ることになるだろう」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授