欲求が満たされない社員は逃げていく問われるコーチング力(2/2 ページ)

» 2008年05月19日 07時00分 公開
[細川馨(ビジネスコーチ),ITmedia]
前のページへ 1|2       

マズローの欲求段階

 答えは、「人間の基本的欲求」満たしてあげることである。「人間の基本的欲求」とは、マズローが提唱している欲求5段階(下図参照)のことだ。「自己実現」は基本的欲求(生理的欲求、安全と安定、所属、承認)が満たされて初めて達成される。夢や希望を抱いて入社する新入社員の中には、すぐに「自己実現」ができると思っている人がいるのではないだろうか。

マズローの人間の成長<出典:フランク・ゴーブル『マズローの心理学』(産能大学出版部)p.83> マズローの人間の成長<出典:フランク・ゴーブル『マズローの心理学』(産能大学出版部)p.83>

 しかし、仕事というものは、入社してすぐの新入社員が思い通りに仕事ができるほど、簡単ではない。スキルや経験などの不足から、仕事ができないと感じることの方が普通である。

 すると、新入社員は会社や自分の所属する部署に対して貢献できていないと感じる。具体的には、「人間の基本的欲求」の「所属」と「承認」が満たされない状況に陥ってしまう。欲求が満たされない状況はとても不安であるため、自分が思い描く仕事の成果が出せない原因を自分以外に求めることになる。

 結果、会社や上司に対する不満が募っていく。この不満な状況に我慢できなくなると、退職してしまう。やや短絡的かもしれないが、おおまかに言えばこのようなことでないかと思う。

 人間が「自己実現」の状態に到達するには、基本的欲求(生理的欲求、安全と安定、所属、承認)が満たされて初めて達成されるということを、管理職は肝に銘じておいてほしい。

 次回は管理職として、部下の日々のマネジメントに生かす具体的な方法をお伝えしたいと思う。

プロフィール

細川馨(ほそかわ かおる)

ビジネスコーチ株式会社代表取締役

外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆