ほとんどの場合、企業の成長はグローバル化と平行して進展する。そしてCIOは、そうした変化をリードしている。事実、国際的プレゼンスの投影に関して、CIOは他のCレベルのエグゼクティブたちよりグローバルな習熟曲線をはるか先に進んでいる。国際的な広告代理店のCIOは、同社のクライアントベースがグローバルに拡大する過程で、ITが「グローバルクライアント向けのコラボレーションシステムの構築、および大規模デジタルコンテンツの移動、ワークフローの管理」などで重要な役割を果たしたと話す。
また国際的な資産管理会社のCIOは、テクノロジー・リエンジニアリングによって「再投資可能な数百万ドルをしぼり出した」と述べ、ITが会社の成長に大きく貢献したとする。
同CIOは、ITと会社の成長の関係で最も重要な要素の1つに言及する。すなわち、会社の成長にITがどうかかわるかだ。このCIOは、“事業的限界”モードから抜け出し、“収益極大化”の役割を追求することにした。そして成長の障害になるレガシーシステムを積極的に取り除いた。同CIOは、このアプローチの優秀性を証明するデータを示し、あらゆるタイプのリソースを解放して、パワフルかつ迅速にコンセンサスを形成したという。
ITを金食い虫から成長のアクセラレータに転換した最大の功労者は、おそらくインターネットだろう。国際的なホテルチェーンのCIOは、すでに宿泊予約の17%がインターネット経由だと指摘し、「われわれにとって、インターネットは売上40億ドルの販売チャンネルに匹敵する」と話す。中堅小売業専門のコンサルタント会社のマネージング・ディレクターは、「従来型の地元ストアにオンライン顧客向けのソフトウェアを導入したところ、1年半後には収益の30%以上をオンライン販売が占めるようになった」と振り返る。
公共セクターにおいても、組織的な成長を支援するものとして、ITは期待されている。実際、そのような成長に責任を持つケースも少なくない。地方公共団体のアプリケーション開発担当者は、「信じようと信じまいと、いまやあらゆる部門が収益の機会を見つけなければならない。ITはその柱になるものだ」としている。
ロンドンの建設サービス会社のCIOは、同社の「優れたITシステムが数多くの建設契約を勝ち取る上で重要な役割を担った」と語る。一方、ハイテクメーカーのCIOも、配下のチームが「顧客の動向に予想もしなかったほど大きな影響を与え、会社の成長、規模拡大に貢献した」と話す。「ITがなければ、そうした変化は起こせなかっただろう」と同CIOは言う。この会社では、IT部門がミッションクリティカルなアプリケーションに革新的な製品を用いた。
信頼性と拡張性が向上したことが社内ユーザーを刺激し、他の有力なプラットフォームから移行する動きが加速した。そうしたユーザーがリファレンスアカウントとなり、製品の販売増につながった。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授