自己変革には、意識変革と行動変革があるが、わたしは、行動変革をしないと、意識変革はできないと考えている。行動しないと、意識は変わらないのである。
リーダーとして、営業が大切だと感じ、営業について学ばないといけないと思ったとする。これは意識した状態である。頭の中でそう思っても、行動を起こさなければ、本当の意味で意識が変わったことにはならない。
営業が必要だと思っているときは、ただ頭の中でぼやっと思っているだけである。実際に営業活動をして、現場に出て営業の厳しさを体感したときに、初めて意識が変化するのである。
マーケティングが重要だと感じたのであれば、実際にマーケティングの担当者のところに足を運び、質問し、実践してみる。マーケティングの効果を知り、その重要性を肌で感じて認識する。これが意識変革である。
リーダーが行動して意識変革をすると、結果が出るようになる。それによって、組織が変わるのである。
考える→行動する→意識変革する→組織が変わる
このことを肝に銘じてほしい。
最近のリーダーを見て感じるのは、もったいないということである。仕事はわくわくするものであるはずなのに、つまらなさそうに仕事をしている人が実に多い。仕事は、大学を卒業してから60歳まで(あるいはそれ以上)かかわるもので、人生の中で割く時間がもっとも多い。仕事とは、自分の知恵の搾り出せる場であり、多くの人といっしょにゴールに向かって進んでいける場所でもある。友情を育むこともできるし、自分自身を鍛え、進化させることができる。
それほど多くの時間を割いていて、本来は人生にとって喜びであるはずなのに、多くの人が不満ばかりを漏らしている。リーダーの人には、まず仕事を楽しんでほしい。
部下を持たせてもらって、ビジネスパーソンとして、人間として成長させてもらう機会をもらっている。役職がついていて、会社からもこんなに期待されているんだと思ってほしい。会社から責任を持って、人、モノ、金を預けられ、自分の裁量で使い、結果を出せる。これは、自分にとって大きなチャンスだととらえてほしい。
このように行動を変え、意識が変わると、仕事が楽しくなる。仕事が楽しくなると、不思議なことにいろいろな大きな仕事ができるようになる。次のステージ――会社の中でさらに大きな責務の仕事を任され、成果を出せるようになる。そして、会社も発展する。
仕事でいかに大志を抱くか。リーダーが大志を抱けば、組織は必ずその方向に向かっていくのである。
オリンピックで真剣勝負を繰り広げるアスリートたち。彼らから学ぶものは多い。彼らは良い結果を1度出したからといって、立ち止まらない。常に次の目標を持ち、少しでも進化するために、自分に問いかけ続け、さらに良い結果を出すために何が足りないのかを模索する。足りないものが分かったら改善する――自己変革に取り組む。それに終わりはない。
一方で、彼らは自分がやっていることを心から楽しんでいる。厳しい練習も「好き」「楽しい」と思えるから続けられるものである。
めまぐるしく変化するこの時代、ビジネスの現場でも、勝ち続ける組織を率いるリーダーには、仕事を楽しみながら真剣に取り組むとともに、常に問題意識を持って自己変革する姿勢が求められるのである。
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授