ミドルが経営を変える
【第3回】なぜ、新事業は成功させねばならないのか?(1/2 ページ)
読者の中には、新規事業や新製品、新サービスの立ち上げ、そして事業化に向けてのタスクフォースに所属し、その実働部隊として日々仕事に励まれている方もいるかと思う。専任ではなくても、何らかの形で立ち上げなどにかかわっている方も少なくなかろう。
こうした業務に難儀している、だから明日からでも仕事に生かしたいとの思いは切実であろう。ミドルを対象とした研修の場でも、事業の立ち上げなどを首尾良く推進するための手法を学び取りたいという方は多い。また、ミドル世代が学生の大半を占める経営大学院でも、新製品開発論といった分野に研究テーマを絞っている方も少なくない。
「多くの新たなアイデアを社内から生み出すには?」「新たなアイデアを社外から取り入れるには?」「それらアイデアを適切に取捨選択するには?」「革新的なアイデアに満ちた新事業を既存事業から守るには?」……。成功に向けてのプロセスには、こうした種々の課題が山積している*1。その解決の一助となり得る情報を研修や大学で学び取りたい。習得するためには講師による座学に加えて、ミドル自身が頭や手足を使って「エクセレントカンパニー」の事例分析を詳細に行うことも多い。
自社の問題点を的確に分析するミドルたち
ミドルによる事例分析に目を通すと、驚かされていることが多い。多忙を極めているにもかかわらず、実に興味深くかつ丁寧な分析がなされているのである。この背景にあるのは、ミドルが持つ現場感覚と立ち上げを成功に導きたいとの熱意からであろう。自社のこれまでの新事業開発におけるプロセスが振り返られ、そこにある問題点が抽出された上で自社に求められる解決策が模索されているのである。
分析対象となった事例が紹介されているだけではない。成功への足かせとなっているものや不首尾の原因は一体何なのか。この追求がきちんとなされているのである。
社外で学び取ったことを社内に持ち帰って活用するには、このように自社が抱える原因追及をきちんとしていることが非常に重要である。これがないと、成功事例の単なる「お勉強」になってしまう。
なぜ成功する必要があるのか
ただ、時間を割いて取り組まれているのを見るにつけ、次のような思いを持つことが多くなってきた。それは、「なぜ、うまくいかないといけないのか?」と自らに問うてほしいとの思いである。「何のために、新事業や新サービスは成功しないといけないのか?」、「成功の目的は何か?」といった、そもそもの目的追求をお願いしたいと考えている。
それに対して、「この分野の売り上げを大きくするため」との回答が自明かもしれない。では、「なぜ、この分野の売り上げを大きくしないといけないのか?」との問いには、どのような答えが返ってくるのだろうか。「売り上げ増は利益源の獲得、相応の利益増につながるから」、あるいは「売り上げ増で会社の規模が大きくなれば、昇進のためのポストも増える」といった返事があるかもしれない。
さらに続き、「何のために、利益源の獲得、利益増をしないといけないのか?」との問いに対してはどうであろうか。「確実な利益源があり、そこからそれなりの利益が生み出されることで、従業員の雇用が担保される。また、この利益が次なる新事業の原資となる、この新事業が成功すれば……」との回答が模範的なの答えであるかもしれない。ミドルの大半はこのように考えて、信じて、立ち上げの仕事にまい進されているのでは、と筆者は考えている。
*1 モンテン T. ハンセン & ジュリアン・バーキンショー「イノベーション・バリューチェーン」『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2007年12月号、pp.88-102
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