うまくいかなかったことの原因は何か?
これは、2つ目の質問の返答に対する原因を探るものである。これが分かれば問題の解決は容易だ。気を付けることは次の2点である。
1. 真の問題点を見つける
2. どのような行動が不足していたかを書く
例えば、うまくいかなかったことに「売り上げ目標を達成できなかった」と書き、その原因を「やる気がないから」とすると、「やる気を出せばいい」ということになる。しかし、これでは何の解決にもならない。真の問題点を見つけられていないからである。
売り上げを達成できなかった真の問題点は、実は「自身の仕事に忙殺され、部下への気配りやフォローが足りなかった」ということがあり、それを解決するには「仕事の時間を削り、部下を指導、フォローする時間を設ける必要がある」となる。真の問題点を見つけ、どのような行動が不足していたか、その視点に立って書き出すのがポイントである。
次の一手は何か?
この質問は最も大切である。2番目の質問で問題点を見つけ、3番目の質問でその原因を明らかにしたのならば、問題点を解決するために何をしたらいいのか、次の一手を考えるべきである。
ゴールを達成するためには、次の一手を常に意識しなければならない。書き出す際には3W(When、What、Who)を明確にする。
1. When(いつするのか)
2. What(何をするのか)
3. Who(誰がするのか――リーダー自身がすることもあれば、誰かに任せることもある)
次の一手を常に意識できるようになれば、ゴールを達成できる可能性は高くなる。
この4つの質問は、個条書きでいいので必ず書き出してほしい。多くの時間をかける必要はない。それぞれ数分で構わない。書き出すことで自分自身の考えが整理され、課題が浮き彫りになるのである。リーダーであれば、これらの質問に答えられないというのは致命的だ。なぜなら、ゴールがしっかりと設定されていないということになるからである。
ゴールが明確であれば、それを達成するために戦略を練り行動する。それに対して、「うまくいったこと」「うまくいかなかったこと」「その原因」「次の一手」が明らかになるはずである。4つの質問を通して、常にゴールとそれを達成するための行動を心掛ける。
冒頭で述べたが、この問答は一週間に1度実施ことを勧めする。週末に自身を振り返り、翌週に実行する次の一手を書き出してほしい。週明けからすぐに行動に移すことができる。
4つの質問を繰り返すことで、ちょっとした失敗や成功について必要以上に気をとられなくなる。「失敗した→それでは次は何をしたらいいのか」、「成功した→次は何をすればいいのか」という思考回路になる。次を意識するようになり、3カ月先、6カ月先のゴールをイメージしながら行動するようになる。
常に先々のことを意識していると、緊急ではないけれど重要な仕事(第二象限の仕事)が明確になる。緊急かつ重要な仕事(第一象限の仕事)ばかりに追われていると、成果は出にくい。リーダーは第二象限の仕事に注力すべきである。そのためにも4つの質問はとても有効である。
次回は、4つの質問を組織で活用する方法を解説する。
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授