ITmedia プロジェクトの進ちょくや品質などを管理するために、どのような工夫をされましたか。
根本 進ちょくと品質確保の両立を図るために、大規模プロジェクトに見合うようガバナンスフレームワークを高度化しました。特に意識した点は、気付きの機会を豊富に設けること、バウチャー主義の徹底、コミュニケーションの円滑化の3つです。
気付きの創出に関して、例えば、プロジェクト遂行上のリスクを制御するため、常時全員が想定リスクを洗い出し、定量化してリスク量が分かるようにしたほか、アクションプランを立てて解消状況をトラッキングする仕組み(Risk Breakdown Structure)を構築し、リスクと対策の共有を図りました。あるチームが認知したリスクがほかのチームでも起きていないかを組織的に管理しました。そのほか、現場、現実、現物の三現主義の確認を徹底したり、IT企業出身の経営者の方や当社が活用している製品に詳しい方など外部の有識者にプロジェクトに入ってもらいチェック体制を敷いたりしました。
バウチャー主義の徹底を改めて掲げたのは、正確な実態把握はもちろんのこと、とかくプロジェクトは外から疑心暗鬼の目で見られがちで、それに対して説明責任を果たす必要もあるからです。周囲から正しい理解を得て、必要な協力や貴重なアドバイスを受けるためには、事実や数字をもって明確に説明することが重要です。
6000人それぞれの認識が食い違わずにプロジェクトを進めるためには、円滑なコミュニケーションも必要です。週次、日次の会議体、集中討議、合宿を実施したほか、ビジネスパートナーを含めた全員との情報共有を図るためのシステム部門専用のポータルを立ち上げるなど、あらゆるものをコミュニケーションの機会として活用しました。
インタビュー後編 「プロジェクト成功の鍵を握る現場力」に続く。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授