日本が抱える財政問題、高齢化社会、人口減という三重苦を解き、本当に必要な将来への投資を考えられるのは誰なのか。
ようやく衆議院が解散された。例によってこの解散にいろいろな名前がつけられている。私もまねしてつけてみた。コメンテーターとして出演しているニッポン放送の番組で、名前を考えるように言われたからである。「伝家の宝刀、抜いてみれば竹光解散」。
そもそも解散というのは、議会から不信任を突きつけられた内閣総理大臣が、総辞職する代わりに議会を解散して国民に信を問うものである。つまりは有権者が自分を支持してくれるという自信のある総理大臣にとっては有効な手段だ。小泉純一郎首相がその典型である。与党から何と言われようが、いざとなれば解散をちらつかせて黙らせることができた。参議院が郵政民営化法案に反対したとき、衆議院を解散して信を問うという「暴挙」ができたのも、国民の支持があったからである。
それに比べると麻生太郎首相の場合は、国民の支持がなく、なおかつ議会(衆議院)は不信任案を否決している。つまり与党は「信任」したのだ。それなのに党内では、この首相を信任できるかどうかですったもんだし、揚げ句の果ては「今の首相の挨拶はよかった」などと言って挙党一致というドタバタ劇。これらの推移を見ていると、自民党という政党は完全に賞味期限が切れてしまったのだと思う。時代から完全に取り残されている。
それとは対照的に勢いづいているのが民主党だ。千葉県知事選は候補者選びのゴタゴタが響いて負けたが、それ以降は連戦連勝。7月12日の都議選では、圧勝といってもいい勝利を収めた。
問題はここからなのである。麻生首相は「政局より景気」という言い方を好んだが、その考え方自体はまったく正しい。しかしこの景気後退が日本経済にとってどのような意味を持っているかについて、麻生首相はまったく自覚を欠いていた。
この景気後退がアメリカ発の金融危機によるものであるのは明白な事実だが、日本経済がこうもひどい打撃を受けたのは、日本の経済構造がいわゆる失われた10年のなかで改革されてこなかったからである。1990年以降に金融危機を経験し、外需依存から内需への転換が行われていたならば、昨年第4四半期、今年第1四半期のようなふた桁マイナスにはならなかったはずだ。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授