【第11話】渡りに船内山悟志の「IT人材育成物語」(1/2 ページ)

苦労しながらも、何とか課題の構造化を終えた3人はいつもの食事処に向かった。そこでは秦野と経営企画部の吉田部長が彼らを待ち構えていた。

» 2009年10月05日 07時30分 公開
[内山悟志(ITR),ITmedia]

内山悟志の「IT人材育成物語」 前回までのあらすじ



 宮下と奥山の2人は、課題の書かれた50枚の付箋紙をはがしたり、貼り付けたりしながら、課題の整理に取り掛かった。イシュー・ツリー、KJ法、そしてその2つを組み合わせたりと、構造化の手法は川口から説明を受けて理解したつもりだったが、いざ実際の課題を取り扱うとなると初めての経験ということもあり、なかなか思うように進まない。どこから手をつけてよいか迷っていた。

 まずはあまり口出ししないようにしようと思い、2人の作業を見守っていた川口だが、「最初はKJ法の要領で似たもの同士で小さなグループを作ってみるといいよ」と助け舟を出した。

課題の構造化

 川口に促されて2人は、似たもの同士を探して数枚ずつのグループを作っていくことにした。より具体的な小さな粒度の課題を見つけては、それと類似した課題を探し、それらをグループとみなして共通点を表現したタイトルをつける。タイトルをつける際にも、「スキル」や「投資評価」のような単語で表現するのではなく「○○が確立していない」「○○が不足している」といった具合に、ほかのカードと同じように文章で表現するのがKJ法でのコツなのだ。

 「2つのグループに属するカードや、どこにも属さない単独のカードがあっても構わない。KJ法はある程度自由度のある収束の技法だし、1つの正解があるわけでもない。後で自分たちが分かりやすいようにまとめられればいいのだ」という川口の助言に、少し気が楽になったのか、あるいは、だんだん要領がつかめてきたのか、2人はカードを移動しながら次々とグループを作っていった。

 「小グループのタイトルとなるカードは、見やすいように違う色の付箋紙にしてもいいですか」と奥山が提案した。川口は「もちろんだ。階層ごとに色を変えるというのは、なかなかいいアイデアだ。中グループも別の色にするとさらに分かりやすいのではないかな」と言いながら、水色、ピンク、若草色の付箋紙を2人に差し出した。作業を始めて1時間を過ぎるころには十数個の小グループといくつかの中グループが出来上がっていた。

 「さて、今度は逆に抽象度の高い大きな粒度の課題を見つけて、イシュー・ツリーの要領でトップダウンから因果関係をひも付けていくとしよう。イシュー・ツリーとKJ法を組み合わせた収束の技法は、トップダウンとボトムアップの挟み撃ちにしていく戦法で進めるのだ」

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