実は私自身も取材前夜、主力商品である“ハイサワー レモン”を購入し、いろんなお酒を割ってその味を体験していた。しかし田中社長が作ってくださったものは、まったく別物と言って差し支えないほど美味なお酒であった。
「同じ材料なのに、どうしてこんなに違うんだろう?」といぶかしんでいる私に向かって、田中社長は微笑んだ。
「注ぎ方も大事なんですよ。ハイサワーはお酒を割るための飲料だから、通常飲料よりも炭酸ガス圧が高いんです。だから、ほら、開栓する前のペットボトルはパンパンに堅いでしょ!? お酒を割るときには、その炭酸を飛ばさないように気をつけるといいんです。グラスは斜めに傾けて、その斜面に沿って注ぐようにします。氷にぶつけてはいけない。注いだ後も、マドラーで軽くひと回しするだけにしてくださいね。思い切りかき回すようなことはしてはいけないんです」
スナックやキャバクラなどで、お店の女性がガチャガチャかき回しているのをしばしば目にする。あれはやってはいけなかったのだ……そういえば取材前夜の私も、垂直に置いたグラスにドボドボ注ぎ、そして思い切りかき混ぜていた。
割るお酒を何にするかも味を決定づける重要なファクターだ。「時々、お客様からクレームを頂戴するんですが、焼酎を割る場合、芋焼酎やそば焼酎などは合わないんですよ。焼酎甲類や、麦/米焼酎などのサッパリした風味のものが良いですね。ウイスキーを割る場合も同様で、バーボンのようなクセの強いウイスキーではない方が良いと思います。今は、ウイスキーブームでハイボールがまた飲まれるようになりましたが、例えば、“ハイサワーうめ”でウイスキーを割って、“梅ハイボール”にすると、とても美味しいんですよ。ちなみに、テレビ朝日のタモリ倶楽部の収録のときに、タモリさんが一番気に入っていらしたのが、この“ハイサワーうめ”なんです」
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明治学院大学 経済学部准教授