あなたの知らない“ハイサワー”の世界――博水社社長・田中秀子さん(前編)嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(1/7 ページ)

「わるならハイサワー♪」の博水社は、清涼飲料水を作り続けて80余年。昨年「タモリ倶楽部」に登場した3代目社長に逢ってみたい! と筆者は東京・目黒の本社を訪ねた。そこで出会ったハイサワーの未知の味とは……?

» 2010年02月13日 05時33分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]

嶋田淑之の「この人に逢いたい!」とは?:

 「こんなことをやりたい!」――夢を実現するために、会社という組織の中で、あるいは個人で奮闘して目標に向かって邁進する人がいる。

 本連載では、戦略経営に詳しい嶋田淑之氏が、仕事を通して夢を実現する人物をクローズアップしてインタビュー。どのようなコンセプトで、どうやって夢を形にしたのか。また個人の働きが、組織のなかでどう生かされたのかについて、徹底的なインタビューを通して浮き彫りにしていく。


酒業界受難の時代でも“元気印”――「わるならハイサワー」

 近年、日本社会における「飲みニケーション」文化の衰退は著しい。かつては職場での宴会、営業に伴う接待など、仕事とお酒は分かち難く結びついていたが、現代、この文化は年々廃れつつある。加えて、男女を問わず20〜30代の人々の「酒離れ」も進んでいる。そもそも下戸でまったく飲めない人々も増えている。さらには長引く不況で、お酒は安ければ安いほど有り難いという風潮の昨今。飲むにしても、あまりお金をかけない傾向が顕著である。

 酒業界を襲うこうした未曾有の危機の時代にあって、善戦している企業がある。「わるならハイサワー」のコマーシャルでお馴染み、株式会社博水社だ。

「ハイサワー」を中心とする、博水社の商品群

 “ハイサワーレモン”を主力とする、「お酒を割って飲む」ための各種清涼飲料水を製造・販売する企業で、1928年の創業以来、清涼飲料水一筋。従業員は、20代から60代までの男女20人ほどと、小世帯でありながら、年商は12億円に達する。

 「お客さ〜ん、終点ですよ〜!」というユーモラスなテレビCMを覚えている人も多いだろう。昨年(2009年)は、テレビ朝日の人気番組「タモリ倶楽部」で取り上げられ、タモリさん、そして眞鍋かをりさんらゲスト陣が社内の宴会に参加し、大いに飲み、語るという内容が大きな話題を呼んだ。

 タモリさんたち番組出演者のトークの楽しさはもちろんだが、それ以上に印象深かったのが、社内の和気あいあいとしたムードや、社長を筆頭に同社社員の皆さんの多士済々ぶりだ。そのキャラクターの豊かさと“濃さ”には目を見張るものがあった。

 放送以来、同社に強い関心を持っていた筆者(と担当編集者)は、今回、念願かなって、博水社の「3代目シスターズ」のお姉さん・田中秀子社長にお話を伺うことができた。

 過酷な経営環境の中をサバイヴする社長ということで、「しらふの時は、もしや強面の女性なのでは?」と、正直、やや戦々恐々だったのだが、登場したのは、たいへん気さくで細やかな気配りに溢れた、気品ある女性だった。

 まだ昼間だというのに、自ら前掛けをして、ハイサワー商品各種を用いたサワーやカクテルを作って振舞ってくださり、“いっぱいやりながら”お話を伺うという、かつてない展開となった。

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