「人は育てるものではない、一緒に育つもの」――中野区役所・平田氏エグゼクティブ会員の横顔(2/2 ページ)

» 2010年03月02日 08時15分 公開
[聞き手:福盛田結花,ITmedia]
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育てようと思うな

――転機となった出来事として印象に残っていることはありますか。

平田 1つは、今の部門に異動して財務会計システムの開発を担当したことです。内部事務管理システムと呼ばれる、文書管理システム、財務会計システム、庶務事務システムを電子決裁ベースで構築することになり、そのうちの財務会計を担当しました。

 全庁に関係するシステムなので予算関係から支払いまでとステークホルダーが多く、2年かけて開発しました。7つのプロジェクトチームがあり、それぞれにメンバーが5、6人いました。プロジェクトを統括する事務局はわたしを含め3人で運営していました。最初の10カ月間で延べ200回以上のプロジェクトチーム(PT)によるミーティングを開催するという怒涛の日々でしたが、ここでプロジェクトマネジャーとして経験したことは財産になっています。

 具体的には、人を大切にしないとプロジェクトが回らないとういことを学びました。もちろんミッションや実現しなければいけない目標設定などがありますが、結局みんなで力を合わせないとそこに到達しないということが痛いほど分かりました。うまくいくときはメンバーが夢を共有できるときで、モチベーションも上がります。言い尽くされたことですが、実体験としてそう思いました。

 もう1つは、尊敬できる上司に出会ったことです。人を育てることに情熱を持っていて、また単に情熱を持っているだけではなく、道筋を示して育てる姿を肌で感じて自分もそのような仕事をしたいと思いました。それまでは人を育てることに苦手意識がありましたが、その上司に言われた「育てようと思うのではなく、一緒に育てばいいじゃないか」という言葉に勇気付けられました。

――部下とのコミュニケーションで気を付けていることはありますか。

平田 昔からの信念ですが、言わなくても分かるということは絶対ありません。顔と顔を突き合わせて話し合うようにしています。1人で良いアイデアが浮かんでも、皆で議論すればさらに良いアイデアが出るはずだと部下にも言っています。

 わたしも上司から「上司の仕事は何かを考えろ」と言われたことがあるのですが、部下が仕事をしやすいようにしてあげるのが上司の役目なのだと最近分かるようになりました。昔、自分が仕事で成果を出したときには、自分の力で成し遂げたと思っていたのですが、上の立場になってみて、その時も上司がサポートしてくれていたのだと気付きました。

最近読んだお薦めの本:

稲盛和夫著 『生き方』

渡邉美樹著 『勝つまで戦う』


ストレス解消法:

友人との交流、ワインを飲みながら好きな本を読むこと、緑の中をゆっくり、いろいろなものを観察しながら散歩をすること、星を見ることなどです。自然の中にある物語を創造しながら過ごすと日常のざわめきから抜け出して、ゆったりした気分になります。

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