ここで、SEやITコンサルタントよりも、さらに経営的な視点で企業を支援する戦略コンサルタントについて、SEやITコンサルタントの仕事との違いの観点から語ってもらった。
「前提条件や制約条件を外して考えるということが大事でしょう」と語るのは大久保プロジェクトマネジャー。大久保氏は新卒で大手メーカーに勤務し、システムのプロジェクトにもユーザー側としてかかわった経験を持つ。その後MBA取得を経て大手ネットワーク系ベンダーでのプリセールスなどを経て現職という経歴。システム監査人などの多くのIT関係の資格を有するという一面も持っている。
「ユーザーとして社内のシステム構築プロジェクトにかかわった際、システム部門員や外部のベンダーのSEさんから“この業務はシステムで自動化されます”といった発言は何度も聞きましたが、“この業務は本当に必要なのですか? ”といった発言は一度も聞いたことがありませんでした。やみくもに全否定することを勧めるわけではありませんが、既存の仕組みやルールなどの前提条件を建設的に疑ってみることは必要でしょう」(大久保氏)という。
「シナリオを作る力が大切だ」というのは大野氏。「30枚の提案書であろうが、一枚のパワーポイントのチャートであろうが、その中にはきちんとしたストーリーが構築されていなければならない。クライアントのプロジェクトでベンダーさんやITコンサルタントの資料では、しばしばストーリーが破たんしている資料を拝見することもある」と鈴木氏が補足する。
破たんしないきちんとしたストーリー作りのためには何が必要なのだろうか。SEは論理的な思考力に富んでいるがゆえに、コンサルタントに向いているといわれることも多いが、この点はどうなのだろう。
「確かに論理的な思考力は必要です。ただ、それだけでは足りません。まず、相手が何を本当に求めているのかをよくよく考えてつかんだうえで、適切にハイライトしなければ相手に刺さるシナリオは作れないでしょう」(大野氏)
大野氏も鈴木氏も社内でレビューをしていて「間違ってはいないけど、つまらないね」というコメントを出すことも多い。
相手が何を本当に欲しているのかをつかむためには、冷静な情報分析と同時に、本音をつかみ出すコミュニケーション力が必要となってくる。
「コミュニケーションと言っても、会話が途切れないようにするとか、うまく笑いをとるとか、そういうことではないんです。相手の発言を受け止めたうえで、相手の悩みや問題意識の原因や理由を考えていって、悩みや問題意識の根源にたどりつくまで考えていくということです」(鈴木氏)
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授