情報システム部門員にコンサルタントのような役割を期待している情報システム部門は多い。戦略コンサルタントの視点からの回答を求めた。
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前回はSEのケイパビリティの問題について触れたが、情報システム部門員にコンサルタントのような役割を期待している情報システム部門は多い。また、ITベンダーにおいても「超上流」部門の強化を目指し、コンサルティング部門の設立やコンサルティング会社の取り込みなどの動きも珍しいものではなくなっている。
今回、「SEを戦略コンサルタントに変える」というテーマでローランド・ベルガーの連載陣を招いて座談会を開催した。
鈴木信輝プリンシパルは「問題解決を企業活動の中や内だけで完結させるのがSEやITコンサルタント。一方で戦略コンサルタントでは企業をとりまくあらゆる要素を考慮してとりかからなければならない。これが一番の違いではないか」という。
大野隆司パートナーは「このことは、前者が設定された「制約条件」の中で解を追求していくという仕事、後者は「制約条件」そのものを設定するところから始まる仕事、ということができますね」と続ける。
大野氏も鈴木氏も、新卒で米国系の大手総合コンサルティングファームに入社し、プログラマーとしての経験を持つ。多くのシステム構築やITコンサルティングにも従事した経験があるため、2人の定義には説得力がある。
それでは、SEとITコンサルタントの違いはどこにあるのだろうか。
大石シニアコンサルタントは、新卒で大手ベンダーに入社し基盤系のSEを経験した後、米系のITコンサルティングファームを経て現職という経歴だが、自らの経験から「ITコンサルタントは、状況を顧客に正確に説明することがより求められる」と語る。
システムを見せて動かして納得してもらうということが不可能であるがゆえ、抽象度の高い事象を紙や会話できちんと説明することが重要であり、困難でもあったという。
一方で「ITコンサルタントとしての仕事の内容は、プロジェクト管理の支援や、業務設計からシステム要件策定の支援が多く、システムの実装に関与するか、しないかという点を除けば、両者に根本的な違いはありません」(大石氏)とも語る。
現在多くのITコンサルティングファームは、実装についても自社で行っており、この点からも両者の差はあいまいになってきているようだ。
「違いがあるとすれば情報システム構築によって会社に貢献するという意識が一般的なSEよりも強い」と大野氏と鈴木氏は指摘する。いわゆる「経営的な視点」の有無は、いま存在意義が問われ始めている情報システム部門が今後の在り方を議論する上でのポイントになりそうだ。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授