産総研などの共同研究チーム、資源量が豊富な新熱電材料を使用した熱電発電モジュールを開発

産総研は5月28日、広島大学大学院などと共同で、資源量の豊富なバリウム、ガリウム、スズからなる新熱電材料を開発し、同材料を用いた熱電発電モジュールを試作したと発表した。

» 2010年06月02日 17時25分 公開
[栗田昌宜,ITmedia]
環境メディア

 産業技術総合研究所(産総研)は5月28日、同研究所 エネルギー技術研究部門 熱電変換グループ 山本淳研究グループ長が、広島大学大学院 先端物質科学研究科 高畠敏郎教授、山口大学大学院 理工学研究科 小柳剛教授、KELK、デンソーと共同で、資源量の豊富なバリウム、ガリウム、スズからなる新熱電材料を開発し、同材料を用いた熱電発電モジュールを試作したと発表した。

 試作した熱電発電モジュールは温度差300度(高温側330度、低温側30度)で発電出力1.7ワット、発電効率約4%を示し、既存の熱電発電モジュールと同等レベルの発電性能を持つことが実証できたという。

 産総研は、工場やビルなどで発生する未利用廃熱や自動車廃熱を有効利用する技術の1つとして、廃熱から電力を回収する熱電発電モジュールの開発を推進している。すでに実用化されている熱電材料はあるが、使用上限温度が250度と高くなく、原料の資源量が少ないなどの課題があった。

 このほど開発した新熱電材料は、従来の熱電材料よりも高い温度で利用できるほか、わずかな組成調整でp型とn型の両熱電材料が製造可能。また、従来の熱電材料のように資源量が少なく価格不安定要因を持つ材料が含まれないため、工場廃熱回収発電システムなどへの利用が期待されるという。共同研究チームは今後も熱電材料の高性能化を進め、発電効率10%以上の熱電発電モジュールを開発し、高性能廃熱発電システムの実現を目指すとしている。

Copyright© 2011 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆