セミナーの後半では、軽食を取りながらの質疑応答、そしてディスカッションの時間が設けられた。
そこでは参加者からさまざまな意見が交わされたが、総じて企業内のIT化への抵抗感や、デジタルディバイドの問題などの悩みを抱えている様子が伺えた。ソーシャルメディアが活用され始めたといっても、その取り組みは海外に比べればまだまだ遅れているといえるだろう。この理由について石黒氏の次のような考えに参加者は熱心に耳を傾けていた。
「ソーシャルメディアに限らず、日本企業は新しいものが持つリスクばかりに目を向けがちで、いつでも"待ちの姿勢"であるため取り組みが遅れるのではないでしょうか。確かに、ソーシャルメディアの利用には発言に対する炎上などのリスクがあり、成果が出るまで時間が掛かるといったこともあります。しかし、ネット上の口コミが購買行動に与える影響というのは大きく、放ってはおけないはずです。企業がソーシャルメディアの利用を躊躇している間にも、消費者間では膨大な数の声が交わされているのです」(石黒氏)
可視化された情報を分析することにより、製品の効果や市場の様子、風評など、さまざまなことが分かる。口コミの傾向を把握することも可能で、また、影響力の強いユーザーの特定もできる。
「ソーシャルメディアにはこうした企業にとっての重要なヒントが多く潜在しているのだからこれを利用しない手はない」と同氏はリスクよりもメリットのほうにポイントを置いた。
最近はスマートフォンなど、一般の消費者がデジタル機器を当然のように利用している。石黒氏はこの状況をインターネット業界が再び爆発的に成長する機会であるととらえており、このタイミングで新たな仕掛けを打ち出すことができるかが今後の企業の勝敗を決定することになるという。
最後に同氏は、公開後わずか数年で急成長を遂げたFacebookを例に挙げながら、日本企業もまだまだ参入の余地のあることを強調し、今回のセミナーは幕を閉じた。
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明治学院大学 経済学部准教授