「Teradata PARTNERS 2011」がサンディエゴで幕を開けた。「モバイル、ソーシャル、センサー……、企業が扱うデータの複雑さは増す一方だが、それはイノベーションの機会でもある」と北米先進企業は「複雑性の克服」に挑む。
メキシコに面した国境の街、カリフォルニア州サンディエゴは、このところ曇りがちだった空も抜けるように晴れ上がり、コンベンションセンターやマリーナにもさんさんと陽光が降り注ぐ。ダウンタウンの再開発も進み、カンファレンスで潤うこの街は、多額の債務と景気の減速で雲行きが怪しい米国経済とは無縁のようだ。
Teradataユーザーグループの年次カンファレンス、「Teradata PARTNERS 2011」は米国時間の10月3日、サンディエゴのコンベンションセンターで幕を開けた。今年でPARTNERSは26回目を数える。Teradataの設立は1979年だから、その大半の歴史とともに歩んできた由緒あるユーザーカンファレンスだ。
サンディエゴはTeradataが開発拠点を置く、いわばお膝元でもあり、参加者は昨年に続いて過去最多を記録、3500人を超えるユーザーやパートナーが集まった。6日までの会期中、300以上のセッションが用意され、そのうち約110はユーザー企業によるものだ。毎年、日本のユーザー企業による事例セッションも行われてきたが、今年は東日本大震災の影響もあって見送られたのが残念だ。
ユーザーグループの年次総会であるPARTNERSは、ユーザーによって企画・運営されている。オープニングセッションの主役も今年の運営委員長に選ばれたエリン・レッドショウ氏だ。
「モバイル、ソーシャル、センサー……、企業が扱うデータの複雑さは増す一方だ。こうした複雑さを10人中9人はネガティブに見ているが、1人はポジティブに考え、機会と捉えている。複雑性はイノベーションの機会でもあるのだ」と彼女は話す。選んだテーマは、「複雑性の克服」だ。
レッドショウ氏が普段働いているのは、カナダの食品流通最大手のLoblawだ。カナダ全土で1000を超える直営およびフランチャイズの店舗を展開している。彼女は同社でETL(Extract/Transform/Load)の専門家としてシニアマネジャーを務めている。
Loblawでは、2011年を「データの年」と位置付け、従業員にデータの「価値」を啓蒙する。乱立していたデータマートは順次、Teradataのエンタープライズデータウェアハウスに統合、顧客に関するデータを分析することでより良い知見を得ようと取り組んでいる。ソーシャルメディアも活用するほか、近い将来、大半の顧客がスマートフォンを持って来店することを見越し、ターゲット層に対してタイムリーにキャンペーンを打つ仕組みも検討しているという。
「チェスでも次の一手しか考えていないと負けてしまう。二手、三手と先まで考えないと。Loblawは先を見ている」とレッドショウ氏は話す。
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