ブランドとは、顧客が頭の中で抱いている製品やサービスのイメージである。強力なブランドとは魅力的で、信頼が置けて、時代遅れでないもの。ナイキの翼を模したロゴを見て直観的に感じるようなことである。
この記事は、洋書配信サービス「エグゼクティブブックサマリー」から記事提供を受け、抜粋を掲載したものです。サービスを運営するストラテジィエレメントのコンサルタント、鬼塚俊宏氏が中心となり、独自の視点で解説します。
この要約書から学べること
自称・ブランディングの第一人者であるサイモン・ミドルトンは、ブランディングの定義を明確で分かりやすい言葉で説明しており、自分の手でブランディングを実行する方法をこの体系的なガイドブックで説明しています。本書は小規模事業のオーナーや起業家向けに書かれたものではありますが、ミドルトンの提唱するプロセスは大規模な事業や企業にも適用することができます。
ミドルトンは題材をとても楽しく刺激的なものにしているため、本書を読むことは、まるでウィットに富んだ博識で親切な友人と会話をしているように感じられます。しかし、それと同時に、1ヶ月間毎日異なるブランディング戦略を実施するという、厳しい提案もしています。とはいうものの、例えこの1カ月という期間を3カ月に引き伸ばすことにしたとしても、説明された実施方法はきちんと効果を発揮してくれます。また、本書を読むことは代理店やコンサルタントを雇うことよりずっと費用のかからないことです。ミドルトンのアドバイスをお薦めします。今がミドルトンのプロセスを実践する時です。
「ブランディング」は自社や自社製品、サービスにおいて、欠かせないものです。そもそも「ブランディング」とは、企業の持つイメージは製品、サービスが「顧客にとって価値のあるもの」であることを認識させるためのものであるといえます。
消費活動とは顧客が自ら必要と感じている物を購入し、利用することで成り立つものであります。当然のことながら自らに必要のないものを消費することはありえないわけですから、「ブランディング」という行動によって、顧客に自社の製品に対する良いイメージを構築させておくことが大切なのです。
ブランディングに成功することによって顧客の購買決定率を早め、リピート率をも高めることが可能になります。しかし、そのためには、類似他社製品やサービスとの明確な違いを打ち出し、顧客メリットを理解させることが必要なのです。
しかしながら、いかに「ブランディング」が大切と考えそれを構築させようとしてもなかなか顧客に定着しないことは多々あります。顧客と企業の意識の間にあるズレがそのようにさせていることは間違いないのですが、ではそれを埋めるためにはどのような戦略が必要なのでしょうか。
本書「1カ月でブランドを確立する方法」ではブランディングの基本から、そのノウハウについて、広く浅く全体を見渡せるようなコンテンツが満載です。まだまだ、「ブランディングって何?」という方も多いと思いますし、逆にそれを自然に身につけてしまっている方も多いと思います。
これから、勉強しようとする方にも、今までのやり方を再度レビューしようとする方にとっても、本著はブランディングの入門書としては最適と思います。是非、この本でブランディングの必要性について再認識してみるのもいいのではないでしょうか?
ブランディング戦略を立案し、実行するには、ブランディングとは何か理解していなければなりません。ブランディングは、マーケティングや宣伝効果の結果、その様相が持つ印象から人々はそれが企業シンボルであると混同してしまいます。
ですが、ブランディングはマーケティング戦略の一部ではありませんし、単なるスローガンでもありません。ブランドとは、顧客が頭の中で抱く製品やサービスのイメージです。つまり、「見込み客全員が頭と心の中にいつも持ち歩く、あなたの会社に関する意味のすべて」なのです。
ジョン・ルイスという百貨店がイギリスにあります。そのブランドに馴染みのある人がその名前を聞くと、「高品質、サービス、価値、パートナーシップ、中流階層」という言葉を連想します。その顧客はさまざまなバックグラウンドを持っていますが、みんな一様に、そのブランドから同じ意味を見出します。
また、ナイキの翼を模したロゴマークも、「達成、スポーツ、ファッション、高品質、人目を引くスポンサーシップ」など、共通の言葉を連想させます。ナイキのブランドは、ナイキが製品だけでは手に入れられない、独特のオーラと個性を作り出しているのです。
「ブランディング」とはマーケティング戦略の一つであり、それがすべてではありません。ロゴでもキャッチでも何でも構わないのです。それを見たり聞いたりした瞬間に、自社製品やサービスを顧客がイメージできるものであることが大切なのです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授