どのような製品あるいはサービスでも、競合相手が存在します。それにおじけづいてはいけません。競合相手に関する知識を得てください。地元地域、国内、そして世界の競合相手を調べてください。相手の強みを特定し、どうすればそれに勝るブランド経験を提供することができるか考えてください。競合するブランドから消費者が連想する要素を調べ、自社ブランドがそれとどう異なるのか、考えてください。
競合他社の存在を知ることは差別化へのよいチャンスと見たほうが良いのです。どのように異なる打ち出し方をすれば顧客メリットを訴求できるかを考えましょう。
ターゲット市場を特定してください。すべての人に好かれることはできないことを覚えておいてください。すべての人を喜ばせようとすれば、ブランドは特異性と焦点を失います。まず、ターゲットとしない顧客を特定してください。例えば、B&Bホテル(日本の民宿のような宿泊施設)を経営している人は、24時間のルームサービスを求めたり、ペットと一緒に泊まりたいと言ったり、ケーブルテレビを希望する客を欲しいとは思わないでしょう。
誰にブランドの価値を見出してもらうのか? 顧客の絞り込みが必要なのです。
「シックス・レッグ・スパイダー(6本足のクモ)」と呼ばれるエクササイズが、自社ブランドの分析をする上で役に立ちます。まず、大きな紙の真ん中に円を描いてください。その円の中心から放射線状に6本の線を引いてください。そして、その線それぞれに、次の質問に対する答えを描き込んでください。
エクササイズで自社ブランド分析をする!
自分の会社があつかう製品、あるいはサービスとは何か?それは顧客にどのような恩恵を与えるか?
競合相手のブランドと比べて、顧客は自社ブランドをどのように認識しているか?
自社ブランドはどのように顧客と関わり、繋がっているか?
自社製品あるいはサービスの本来の目的は何か?
長期的に何を成し遂げたいか?
自社企業の価値は何か?形態学的分析から見つかった価値はどのようなものか?
自社ブランドの分析に客観的を考察するためにこの方法は非常に有効です。
ポジショニングとは、「競合するブランドと比べて、自社ブランドが顧客の心あるいは頭のなかで占めるスペース」という意味です。
例えば、高級自転車を扱う自転車屋さんを経営しているとします。通りの先には、自転車だけでなく、その他のスポーツ用品も扱うスポーツ店があります。そのスポーツ店を、自分のお店の顧客を奪い取るライバルだと思うのではなく、自分のお店をそのスポーツ店と関連付けたポジションに置いてください。
自分のお店は高級品を扱うお店であり、相手のお店はその類似品を売るお店です。自分のお店の店員は専門知識が豊富であり、相手のお店の店員は多方面の才能を持っています。そして、自分のお店の顧客は、週末だけ自転車にのるのではなく、熱心なサイクリストです。
自社ブランドの強みと目標を明確にした、社内で使用する簡潔なポジショニング・ステートメントを作ってください。そして、その目標を達成するために使える手法と、顧客にとっての自社ブランドの意味を説明してください。そして、製品のスローガンなど、ポジションを示す言葉を宣伝に使用し、ブランドのイメージを明確にしてください。
例えば、ナイキは「ジャスト・ドゥ・イット(毎日が最高のチャンスだ)」というスローガンを、バドワイザーは「キング・オブ・ビアー(ビールの王様)」というキャッチフレーズを使っています。スローガンは短く、シンプルで信ぴょう性のあるものでなければいけません。ダジャレや外国語は避けましょう。
キャッチフレーズの候補をいくつか考え、誤字と文法をチェックし、決定する前に消費者モニターで試験してください。
「ポジショニング」つまり、自社が存在している業界のなかで自社がどういう立ち位置で、何を顧客に提供しているのかを明確にすることです。それを理解することで、よりターゲットをも明確にできるのです。
著者紹介
サイモン・ミドルトンは、ブランド・ストラテジー・グル社の創設者です。
英国のテレビ番組、「ザ・ブランド・エフェクト」の司会を務めています。
経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授