時代遅れの階層式モデルは効率性を重視し、格子構造のモデルは敏しょう性と柔軟性を提供する。大きく変化しようとしているビジネスの世界で格子構造を取り入れて成功する方法とは。
この記事は、洋書配信サービス「エグゼクティブブックサマリー」から記事提供を受け、抜粋を掲載したものです。サービスを運営するストラテジィエレメントのコンサルタント、鬼塚俊宏氏が中心となり、独自の視点で解説します。
この要約書から学べること
産業時代に根差した階段式のキャリアパスによって、人は仕事を時代遅れで型にはまった見方で捉えています。階層式のビジネスの世界では、人は9時から5時まで働きます。そして、成功とは、立派な肩書を手にし、立派なオフィスで働き、高給をもらい、大きな権力と名声を手に入れることだと考えています。
しかし、今日のビジネス世界は異なると、デロイト社の副会長のキャスリーン・ベンコとタレント・ディレクターのモリー・アンダーソンは説明しています。グローバリゼーションと技術により、階層は少なくなり、いつ、どこで、どうやって仕事をするか選択の余地が増えています。従業員もまた、大きく異なり、多様性を増しています。彼らのニーズと期待は、以前の均一の性質を持っていた労働者のそれとは異なっているのです。
今、階段式の出世街道は崩壊しかけています。そして、「格子状のキャリアパス」が生まれ始めています。この「格子状のキャリアパス」とは何か、選択肢の幅を増やし、ジグザグなキャリアを認め、業務をさまざまな形で行うことを許可し、いつ、どこで、誰が思いついたものであれ良いアイディアを受けいれることで、そのキャリアパスがどのように新しいビジネスの世界に馴染んでいくか説明する革新的な本書をお薦めします。
「ヒト、モノ、カネ」はビジネスを推進していく3種の神器ともいえるものです。その中でも「ヒト」つまり「人材」は最も重要といえるものでしょう。「ヒト」が働く目的にも重なることでもあるのですが、20世紀の産業構造……典型的なものが日本の第二次大戦後の高度成長期はまさに、終身雇用制度全盛の時代であり、年功序列による給与形態が当然のものでありました。
それ故に、一つの企業で一生働くことで、エスカレーター式に出世して、給料も増えていきました。それが、顕著に反映されている点として働くその本人のみならず、その家族もある意味、その企業によって生活を約束されているという図で成り立っていました。
企業への忠誠心がそれを支え、企業のヒトコマとなって懸命に働くことが従業員にはできたわけです。しかし、それも20世紀の「もの作り」産業のなかで画一的な労働であるからこそ成り立っていたものであるとも言えるでしょう。バブル崩壊とともに訪れた終身雇用制度の崩壊は、まさに、企業に対してのロイヤリティを著しく下げ、それと同時に訪れたIT産業の急速な発達は、「想像産業」とする時間の枠や物質的な生産量では計り切れない新しい価値をもたらしました。
それ故に、今までのエスカレーター式出世は消え行く状態にあり、それに代わり新しい雇用形態、ビジネスモデルが登場し、主流になりつつあります。では、そうした新しいキャリア構造とはどんなものなのでしょうか?
本書「階層構造からの脱却」は、これからのキャリア構造について具体的に記されています。しかしながら現実問題として、社会にはあらゆる規模や形態の企業が数多く存在していますが、実際はどのようなものなのでしょうか? ここでは、「格子構造」に変化をしていくという予測をしています。その「格子構造」のなかで我々はどのようなビジネスを行いキャリアを積み重ねていくことがよいのか、まずは、詳細を交え自社の在り方と照らし合わせ読み進めていきましょう。
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明治学院大学 経済学部准教授