高い知能は、少数の人間だけが持っているものだと思っていませんか? 会議に出席した時、過去に貢献した人の話だけ聞いていませんか? 「はい」と答えた人は周りの人の可能性を閉ざしている可能性があります。ではいかにして可能性を引き出すのか。
この記事は、洋書配信サービス「エグゼクティブブックサマリー」から記事提供を受け、抜粋を掲載したものです。サービスを運営するストラテジィエレメントのコンサルタント、鬼塚俊宏氏が中心となり、独自の視点で解説します。
この要約書から学べること
誰もが一緒に仕事をしている人(または暮らしている人)からより多くのものを引き出したいと思っています。リズ・ワイスマンとグレグ・マキューンは本書を通じて、従業員を自身が思っている以上に成長させる上で役立つ方法を提供しています。そして、それと同時に従業員の成長を妨げ、なりたい自分になれなくなってしまう道も教えてくれています。
キャロル・ドゥエックや多重知能の第一人者ダニエル・ゴールマンなどを始めとするさまざまな著者の研究に支えられ、本書はあらゆる場面で読者の意欲をかき立て、仕事や生活に大きな価値を与えてくれるでしょう。
経営者、そしてリーダーの役割とは何でしょうか?
それは、企業利益を常に最優先に考え、会社を安定的に経営することです。さらに社員や、株主を守り、会社を継続的に成長させることであることは間違いありません。
小さな会社であれば、経営者も現場の仕事をすることもあるでしょうし、大きな会社であれば、現場の仕事ではなく会社経営全体について掌握し、運営のかじ取りをすることが主になります。
そのためには、社員全員が同じ目標を意識して足並みをそろえて行かねばなりません。そういう意識付けをして、モチベーションを高めることも経営者であり、リーダーの役割であり、姿勢だと思います。
今、世の中には、モチベーションアップや自己啓発についてのセミナーや書籍が溢れています。ただ、それらのほとんどが、技術的な事ばかりで、そのメリットや、考え方について語られている事は意外と少ないように思えます。
本著では、もちろん社員のモチベーションを上げるための技術についても語られていますが、何故それが必要なのか? また本当にそれができる人間「マルチプライヤー」としての活動ができているかといった事を客観的に判断できるようになっています。
いま、あなたは「マルチプライヤー」でしょうか? 本書でそれを確認して、「マルチプライヤー」として活躍をしていきましょう。
もし一緒に仕事をしてきたリーダーが「ディミニッシャー」である場合、あなたはそのことに気が付いているはずです。会議を開くと、ディミニッシャーが光り輝き、周りの人はぼやけてしまうからです。この手のリーダーシップはチームにとって良くないだけでなく、組織全体にとっても悪影響です。
反対に、リーダーが「マルチプライヤー」である場合、彼らは部下の能力を飛躍的に高め、個人やグループの知能を向上させることができます。そして、その結果、生産性が増し革新が促進されます。
研究によると、マルチプライヤーは従業員からより多くの努力、エネルギーそして成果を引き出すことが分かっています。彼らは優秀な人間を採用するだけでなく、優秀な人間の能力を引き出します。
さらに、マルチプライヤーである経営者は従業員をさらに成長させ、新しい企業論理を促します。つまり、従業員の能力を最大限発揮させ、これ以上リソースに投資する必要をなくすのです。
高い知能は、少数の人間だけが持っているものだと思っていませんか? 会議に出席した時、過去に貢献した人の話だけ聞いていませんか? 「いいえ」と答えた人はマルチプライヤーになる素質を持っています。
しかし「はい」と答えた人は(自分自身では想像したことはないかもしれませんが)、ディミニッシャーになる可能性があります。この違いは重要です。マルチプライヤーもディミニッシャーも同じ程度の心遣いを持って顧客と接しているかもしれません。そして、両者とも高いレベルでビジネスを理解しているかもしれません。しかし、組織内の思考、才能、課題、決定、オーナーシップに対する姿勢が根本的に違っているのです。
ビジネスの過程で、社員の動きを客観的に見ていれば自分自身が、(またパートナ―においても)マルチプライヤーであるかそうでないかは容易に理解でききます。また、マルチプライヤーになる人の素養とは何か? ここには具体的に明記されています。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授