多くの企業人は人事評価や昇進の根拠を理解できない、結果を納得できないと感じたことがあるだろう。そんな時どう振る舞えばいいのか。
「何故あなたの昇進は見送られたか 昇進の“不文律”を読み解け」(注)、昇進の意思決定は不可解で、恣意(しい)的で、人事評価はあいまいで分かりにくい、昇進が見送られた理由を自分で読み解くしかない、……何と興味深いタイトルだろう。(注:Diamond Harvard Business Review March 2011、ジョン・ビーソン ビーソン・コンサルティング社長)
しかし、最近は昇進を好まない企業人が多いとされるから、彼らにとっては興味深いタイトルでないかもしれない。ただ、今回はテーマから外れるので多くは語らないが、一言だけ断っておくと、昇進すると仕事が格段に面白くなる。それは間違いない、保障する。ただし、昇進だけが仕事を面白くするものでもないが。
さて、実際の経営現場で定期的に繰り返される人事評価や昇進について、その根拠を理解できない企業人、さらにその結果を納得できないで不満を抱える企業人が、いかに多いことかわれわれの誰もが知っている。
事実、人事評価も昇進もアイマイに行われているのである。昇進には、多くの場合永年蓄積された人事評価点が高いことという根拠はある。しかし、その評価点が厳密な意味で根拠が明確かというと、疑問符が付く。ビーソンも、昇進の基準を明確化している企業はほとんどないとしている。では、われわれ企業人はどう振舞えばよいのか。
ところで、冒頭紹介の論文は残念ながら内容が平凡である。しかし参考にはなるので、まずは引用しながらわれわれはどう振舞えばよいのかを考えていこう。
ビーソンの論文は次のように始まる、「あなたは目覚しい成果を残し、輝かしい評判も得ているのに、大事な昇進を見送られた。何がたりなかったのか聞いてみたが、答えはあいまいで満足できるものではなかった。」「昇進の決定は恣意的で政治的に行われているように見える。」「ほとんどの組織において、昇進は“不文律”に基づいて決められている。」「その不文律とは、」「シニア・マネジャーたちが抱く、しばしばあいまいで直感的な感情である。そしてその感情は明確に伝えにくいものである。」多くの企業人は、この主張に大いにうなずくのではないか。
さらに続く、「上を目指す“リーダーの卵”のあなたは、こうした不文律をまだ知らない。」「結論としては、自分自身で工夫して周囲からの評価を解読し、キャリア上の目標を達成する道を見つけるしかない。」
この自分自身で工夫をして道を見つける手法を解説する前に、ビーソンが挙げる、昇進を決める不文律なる3カテゴリーを次に紹介する。
(1)不可欠要因(昇進候補者となるために絶対必要な要因)
(2)除外要因(有力候補者となることを妨げる特徴)
(3)コア選抜要因(これらがあれば成功すると他人が確信するような能力)
この3カテゴリーの内容は不充分であると考えられるが、これについては後述する。
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明治学院大学 経済学部准教授