「2週間後に100%のものよりも1週間後に80%のものがいい。」刻々と変化する今、早く実行に移す方法が求められている。残りの20%は一緒に議論しながら埋めていく。
「グローバル時代を生き抜くスマートリーダー術」というテーマで、前回は「闘いに勝つにはまず勢い――雰囲気づくり」について話しました。今回は、コミュニケーションに求められるスピードについて話します。
現在はインターネットが普及し、多くの情報がすさまじい勢いで流れる中(2000年から2010年までに情報量が300倍になったというデータもあります)で、スピードが求められる時代です。コミュニケーションにおいてもやはりスピードがとても重要になっていると感じます。
ただ一方で、変化のスピードが速いからこそ、逆にじっくりと構えるべきこともあるのではないかと思います。その2つをよく見極めることが欠かせません。
以前は直接話すことが多かったものの、今は部下や周りの人からメールが届くことが多くなったでしょうか。部下や周りの人からもらったメールに返事をしているでしょうか。返事をしている場合何時間後にしているでしょうか。
某有名外資系金融機関の幹部が次のように言っていました。
人により例外がありましたが、弊社の幹部は、連絡を入れるとどんなに忙しく、どんなに偉い人でも24時間以内に必ず返事を返してくれました。これはいうのは容易いですが、なかなかできないことです。返事が来ないために仕事が止まるということがありません。また、忙しいわりには人の話をよく聞いてくれたと思います。リーダーシップやマネジメントスキルを徹底的にトレーニングされていて、それらを身につけたうえで、ある程度のポジションになり、実践しているのだなと感じることが多かったです。
同じオフィスにいる人であればその人のところに足を運んで聞けばいいですが、物理的に離れている場合(特に海外とのやり取り)、直接尋ねることは難しいものです。時差を気にしなくてもいいのでメールを使用することが多いですが、その返事がないことで業務に大きな支障が出ることがあります。この外資系金融機関では、24時間以内に返事をする、ということが徹底されていました。
ある有名なコンサルティングファームでも、「上司であろうと、部下であろうと、社内の人からのメールには、世界のどこにいようと24時間以内に返事をするというルールがあります」と言っていました。
メールで質問などをされて返事を求められた場合、できるだけ早く返すことを心がけたいものです。もしすぐに返事ができないのであれば、「メールを受け取りました。今は立て込んでいるので、検討して○日までにご連絡します」と送っておくだけでもいいです。検討や調査が必要で時間を要するならば、「調べる必要があるので○日までに連絡します」と伝えればいいのです。
これを伝えるだけで相手は安心します。なお、ここで大切なのは「○日までに連絡します」と相手に日付を明示することです。これによって、相手はその日までに返事がある、それまで待っていればいいということがわかり、もしほかの人が関わっている場合、そのように伝えられます。
ある外資系企業の経営幹部と仕事をしたときのことです。彼女は、次のようなことを言っていました。
2週間後に100%のものよりも1週間後に80%のものがいい。
ビジネスは刻々と変化しており仕事に関してまずは早く実行することが求められていると痛感した言葉でした。2週間後に100%のものができればいいですが、なかなか100%になるのは難しい。それならば80%のものをできるだけ早く出してもらい、そこから一緒に議論しながら100%に持っていったほうが結果としていいものができる、という考え方です。
スピードがとても大事、逆にスピードを持っていると大きなアドバンテージになるということです。
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明治学院大学 経済学部准教授