スマホを映画館に 「dビデオ」ヒットのエイベックス、見放題サービスに取り組む狙い(1/2 ページ)

スマホ向け動画定額配信サービス「dビデオ」が好調だ。会員数は右肩上がりで伸び続け、収益も黒字化を達成。運営するエイベックスの担当者は「ライバル視しているサービスは特にない。まずは自社のサービス向上に努めていく」と話す。

» 2013年04月08日 09時00分 公開
[本宮学,ITmedia]
photo dビデオ

 NTTドコモのスマートフォン向け“動画見放題サービス”である「dビデオ」が好調だ。2011年11月のスタート以来、会員数は右肩上がりで伸び続け、収益も黒字化を達成。モバイル向けコンテンツ定額配信サービスとしては国内最大級の規模になっている。

 運営するのは、エイベックス・エンタテインメントとドコモが共同出資して設立したエイベックス通信放送。同社は2009年4月に「iモード」向けオリジナル動画配信サービス「BeeTV」をスタートし、2011年11月にはスマホ向けコンテンツ定額配信サービス「VIDEOストア」をオープン。その後VIDEOストアをdビデオに改称し、今では6万タイトル以上の動画を月額525円で“見放題”で提供している。

 会員数は昨年4月には100万人、7月に200万人、11月に300万人を超え、今年3月には400万を突破。ユーザー層は男女偏りなく、男性には洋画やアニメ、バラエティ番組などが人気で、女性にはミュージックビデオや韓国ドラマなどが多く見られているという。

 2011年に米国発の「Hulu」が日本進出するなど競合サービスも少なくないが、「こちらからライバル視しているサービスは特にない」とエイベックス・エンタテインメントの村本理恵子さん(デジタルコンテンツ本部 副本部長)は断言する。「まずは自分たちのサービスの会員数を伸ばすことが最優先課題。Huluなどの他社サービスとも一緒に、市場全体を盛り上げていきたい」

「スマホが売れるほどサービス規模が拡大していく」

 新規ユーザーを獲得するための土台は整っている。ドコモ店頭では、スマホ購入時にdビデオに入会すると端末代金を値引きするキャンペーンなどを展開。「ドコモのスマホが売れれば売れるほどサービス規模が拡大していく」(村本さん)体制ができている。

 こうしたキャリアとの連携に加え、ユーザーの解約率を下げるために独自の仕組みも用意している。「見放題サービスには、知っている動画を一通り見ると見るものがなくなってしまうという限界がある」と村本さん。dビデオは1つ1つの動画をキーワードタグで連携させ、「ユーザーがそれまで知らなかった動画との出合いを促している」という。

photo 「ほどよくニンマリ」「浪花節 女の人生」など特徴的なタグが並ぶ

 タグ付け作業はスタッフが全て“人力”で行っている。「『邦画』『ドラマ』といった単純なものだけでなく、『ギラギラな男たち』『強いぞ!女子』など、ユーザーがついつい押したくなるようなワードを用意している」(村本さん)。コンテンツの種類は映画やドラマ、アニメ、ミュージックビデオ、カラオケ用ムービーなど幅広いが、タグ機能が奏功して「全ての動画が必ず1回以上再生されている」という。

 「コンテンツ定額配信サービスのメリットは『気軽』なこと。ユーザーにとって初めて見る動画でも、つまらなければ数分でやめて次の動画にスキップできる」と村本さん。dビデオはキーワード機能を通じて「スキップ」を活性化させ、ユーザーの継続利用につなげているという。

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