伝わる人と伝わらない人がいるジレンマを感じたことがあるだろうか。相手のタイプや志向を把握して、無用なプレッシャーをはねのけよう。
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ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
いかがでしょう。あれほど準備をしたにもかかわらず、「なぜか、あの人だけにはうまく伝わらない」、という経験をしたことはありませんか? そして、その人から「準備外の指摘」が入り、大至急で仕事をやり直したことはありませんか?
安心してください。みんな一緒。ほとんどのビジネスパーソンは、このジレンマを抱えています。
一方で、こんな人もいます。いかなるタイプの上司に対しても、躊躇なく意見ができる上に、その意見が取り入れられる人。また、相手が気難しいタイプであれ、気が付けば彼(彼女)が導きたい方向に話を進めている人、いわゆる「ここ一番に強い人」です。
彼らに共通することがあります。それは、何よりも相手のタイプや志向を把握している点です。この本は、「相手の脳ミソ」で考えることで、無用なプレッシャーをはねのけるコツを紹介しています。今回は、その中からスグに使える効果的なコツを選りすぐり、2つ紹介します。
まず、相手の心つかむためには「自分2割、相手8割」のセオリーがあります。この割合は、会話の中での「話す時間」の割合です。話せば話すほど、相手との距離がグッと縮まった経験はありませんか? つまり、相手の話を聴けば聴くほどに、相手の心をつかめる法則を活用しています。今回は、私が普段の研修で行っている、効果的な進め方を紹介しましょう。
大事なのは相槌。「相手の言葉を復唱する」というテクニックがあります。「最近、体重が増えてきてさ」「体重が、ですか」といったよう、ただ相手のことばを反復することで、相手は話しやすくなり、たくさんの情報を教えてくれるようになるというものです。相手が意に沿わない意見を言ってきたとしても、その場で意見を言わずに我慢をしてください。まずは相槌です。繰り返しになりますが、相手の心をつかむ鍵は「たくさん、話してもらうこと」です。ぜひ、試してみてください。
本番に強い人は、コミュニケーションを相手のスタイルに合わせています。 私の研修で人気のあるメソッドに「ソーシャルスタイル」というものがあります。これは、米国の産業心理の専門家であるデビッドメリル氏が開発した、ほんの少しの会話で相手のタイプを見抜くことができ、タイプに合わせたコミュニケーションが可能になるというメソッドです。その方法を紹介しましょう。
まず、相手のタイプを知るポイントは、「感情表現の豊かさ」「自己主張の強さ」の2点だけです。では、まず感情表現の見方です。笑顔が多い人かどうかを見てください。「ハハハ」もしくは「ふふふ」と笑うなら「豊かなタイプ」です。豊かでないタイプは、笑っても「フッ」と発する程度か、笑い声を発しません。
次に自己主張の見方。話すスピードがポイントになります。会話の速度と自己主張との間には強い相関があるからです。早口であるなら、その人は、自分の意見を押したい人です。ゆっくりなら、意見を押したい人ではありません。以上のポイントをふまえ、相手を4つのタイプに分けてみてください。
No. | 【感情表現】 | 【自己主張】 | 【タイプ】 |
---|---|---|---|
1 | クール | 強い | ⇒(1)負けず嫌いな人(勝利志向) |
2 | 豊か | 強い | ⇒(2)目立ちたい人(注目志向) |
3 | 豊か | 弱い | ⇒(3)やさしくありたい人(平和志向) |
4 | クール | 弱い | ⇒(4)納得したい人(論理思考) |
例えば、サッカーの本田圭介選手は、どのタイプでしょう。(1)です。だから、インタビューでも勝ち負けにこだわる姿があるわけです。
では、各タイプの特徴と対処法を紹介します。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授