IT業界における30年間の経験を生かし日本の次世代リーダーを育成するITmedia エグゼクティブセミナーリポート(2/2 ページ)

» 2014年02月12日 12時00分 公開
[山下竜大,ITmedia]
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成功者には1秒たりとも同じ状態の人はいない

 山元塾では、リーダーとして必要なスキルを体系化した「108の覚悟」に基づいて、次世代リーダーを育成している。108の覚悟は、「Business Model」「Organization」「Communication」「To-Be Model」「Business Style」「Capability」という6つのカテゴリーで構成されており、経営や起業、海外進出、営業、マーケティング、プレゼンテーション、パーソナルブランディング、英語などを効果的に学ぶことができる。

 いろいろなことが満ちあふれている世界で、新しいことを考えるのは、ビジネスモデルを考えることである。ヤフーやアマゾンが大きな市場を持っているといっても、90%の小売りは現金商売の小売店である。その市場に対して、どのようなビジネスモデルを描くのか。圧倒的な品質で勝負するのか、日本だけかグローバルも見ているのか、それを考えるのはリーダーの役目である。

 山元氏は、「新しいビジネスを考えるためには、新しいリーダーを育てなければならない。シニアを敬い、同世代に助けてもらうことが必要である。そういうコミュニケーションの能力が必要になる。いまの若者のほとんどが、携帯かメールでしかコミュニケーションができない。社長になったときに、携帯かメールでしかコミュニケーションできない社員を雇うだろうか?」と問いかける。

 またリーダーは、この人の下で働きたいと思われる人としての魅力も不可欠である。現状では、若い人に何になりたいかと聞くと、日本人からは答えは返ってこない。小学生のころは、野球の選手になりたい、消防士になりたい、といった答えがすぐに返ってくるが、中学になると突然、夢を語らなくなる。学校でビジネスの教育をしなくなるためだ。

 日本の先生は、ほぼビジネス経験がないので教えることができない。まったくビジネスを学ばない学生が、20歳になって突然就職活動を初めてもうまくいくはずがない。また何になりたいかを決めて勉強しても時間がかかる。日本人は勉強すればリニアに能力が伸びると思っているが、能力は階段状にしか伸びない。ハウ・ツー本を読むのではなく、自分のスタイルを持つことが重要である。

 「特に日本人は失敗しないようにと考える。しかし失敗しない人はいない。成功した人は、成功するまでやった人である。途中は失敗だらけだ。スティーブ・ジョブズは、負け犬と呼ばれ、自分が作った会社を追い出されている。それが世界一の経営者と言われるまでになったのには、どれほどの努力があったかは想像に難くない」(山元氏)

 スティーブ・ジョブズは、スタンフォード大学で行ったスピーチで、「本当にすごい仕事をしたければ、自分が打ち込める仕事を探しなさい。20歳であれば見つかっているはずだけど、見つかっていないとしてもあきらめてはいけない。自分が本当にやりたいことが見つかるまで探しなさい」と話している。

 「私は高校のときコンピュータの世界で仕事をしたいと思った。計算能力は人間ではかなわないいのでコンピュータにまかせ、よりクリエイティブな仕事をしたいとコンピュータの世界に入った。例えばトリノオリンピックやサッカーワールドカップのデジタル放送にはアップルの技術が採用されている。まだまだやりたいことはたくさんある」(山元氏)。

 山元氏の座右の銘は、「地球上でたった1つの真実は、常に"変化"しているということ」である。

 山元氏は、「地球上の70億人の人間、偉い人、お金持ち、誰1人として、1秒たりとも同じ状態の人はいない。どんどん変化している。若い人にもチャンスはある。どれくらい変化できるかが重要である。世界のトップランナーたちは、半端じゃないほど好奇心が強い。アインシュタインも"自分が優れていたのは好奇心だけ"という名言を残している。いろいろなことに興味を持ってほしい」と話し講演を締めくくった。

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