21世紀のビジネスに大事なのは「モノ」より「共感」――10年後も生き残るための4つの考え方ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

来るべき新たな波に乗るために。10年後のあなたの場所を確保するために、知っていたほうがいいこととは?

» 2015年09月10日 08時00分 公開
[山口揚平ITmedia]
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10年後世界が壊れても、君が生き残るために今、身につけるべきこと

 10年後、あなたは今と同じような仕事をしているのか? と言われたら、どうでしょうか? 「売れるもの」のサイクルが速くなり、次々と新たなビジネスが生まれては廃れていきます。定番と思われた産業も、今までどおりでは立ち行かなくなってきています。

 僕は、カネボウやダイエーといった大企業の再生やM&Aに関わってきました。いずれもある一定の時代に隆盛した企業といえます。しかし、いつかは、岐路に立たされます。

 一方で、宇宙開発や電気自動車などの事業の立ち上げにもかかわっています。民間での宇宙開発は当初は資金調達をしようにも見向きもされない状況でしたが、成功しそうな芽が見えてからは、あっというまに有望事業となってしまいました。今はGoogleのCMにも出ています。

 大企業からベンチャーまで、さまざまな事業を見てきましたが、先を見て変化の波にのっていれば、今は、実は希望も多い世界であると思います。

 来るべき新たな波に乗るために、そして、10年後のあなたの場所を確保するために、知っておきたいことを4つまとめました。

「モノ」よりも「共感」を提供せよ

 20代のある人から、「バブル世代が居酒屋に行って"じゃんじゃん持ってきて"みたいなことを言うのが、理解できない」と言われたことがあります。

 最近、ミニマリズムという言葉も流行ってきていますが、「more and more」(多ければおいほどいい)という風潮から、「less is more」に切り替わりつつあります。昨年、フィンランドで行なわれた「2040年のユートピアを考える」という会議に出ましたが、ヨーロッパでは、「モノを作ることは悪である」とまで考えている人が出てきています。モノはいずれゴミになります。それは廃棄コストにつながり、最終的には社会的損失となります。家具や家電をアジアや東欧で大量生産して、タンカーで運んで売りさばくなんて、とんでもない時代錯誤だと思っているのです。

 その分、産業も「モノ」から「意識」を大事にするものに変わっていくでしょう。お金を儲けるための経済体というよりも、ある価値観を持った共同体をつくって、そこで事業を行なうというイメージです。例えば、ナイキやアップルなどは価値感がはっきりしていて、多くのファンを獲得しています。クックパッドなどはつながり自体が産業になっています。

 要は何を行なうか、ではなく、「どんな価値観」で事業を行なうか、そこにどんな人達がついてくるのか。21世紀の事業は、より「共感」と「共振」が大事になってくるでしょう。

 一方で、顧客の側も、欲しいものは「モノ」から「承認」に変わります。

 すでにFacebookなどは、「自己顕示欲求市場」となっています。インターネットがなかった頃は、BMWなどの高級車を買って自分をアピールしていましたが、今は車よりFacebookのアカウントのほうが大事という人も多いでしょう。そういう意味で、高級車の競合は、SNSとも言えます。なお、こうした本質を見逃すと、うまくいくものもいかなくなります。

コンテンツではなく「メディア」が大事

 携帯において新たにウェアラブルデバイスというものが出てきましたが、メディアも日々新たなものが登場しています。ここで知っておきたいのは、「コンテンツに価値があるのではなく、メディアがコンテンツを規定する」ということです。

 夏目漱石はなぜ成功したと思いますか? 内容がよかったから? それだけではないはずです。

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