名将とは、優れたリーダー。人それぞれの状況の中で、存続や生き残りをかけて全身全霊を尽くしサバイバルしてきた。彼らの生きざまを現代のビジネスにどう生かすか。
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今、真田信繁(幸村)が主人公のNHK大河ドラマ「真田丸」が佳境に入っている。劇作家であり脚本家の三谷幸喜氏の優れた脚本が「真田丸」をより一層面白くしてくれている。
本書『名将の戦略』でも、真田家と真田丸を取り上げている。戦記物や講談などちまたでも真田幸村という名がよく知られているが、どういう経緯で真田幸村となったかの確たる証拠はまだ発見されていない。ひとつのミステリーといってもいいだろう。
史実上は、真田信繁である。幸村と信繁にはそういう空白、間隙がある。歴史上のいわば間隙、隙間を三谷幸喜氏は巧みに埋めて見せた。その工夫には三谷氏の歴史とエンターテインメントへのこだわりを感じた。
ドラマの「真田丸」では父昌幸の「幸」と自分の関係のある言葉を嫡男大助に多くの中から選ばせ、幽閉されていた九度山村の「村」とあわせて、偶然に幸村となった設定だが、もしかしてそうだったかもしれない、なるほどと思わせる内容だった。
もし真田信繁がこれを見ていたら、また、後世に幸村といわれて名高いことをどう思うだろうか。
ところで、いつの時代の誰であっても、それぞれの人にはおかれた立場や運命ともいうべきものがある。『名将の戦略』に取り上げた人物たちも、また、現代のわれわれも同様である。いわば「天の時、地の利、人の和」という「天・地・人」などがそれぞれの人間のおかれた立場によって違っている。
人それぞれの状況の中で、本書で取り上げた名将たちは国や領土、志のために皆必死で生きた、存続や生き残りをかけて全身全霊を尽くしサバイバルしてきた。
名将とは、大辞泉によれば「優れた武将。名高い大将」という意味であるが、本書では、転じて、名リーダー、優れたリーダーという意味でも用いている。いわば、名将=名リーダーである。
筆者の仕事の柱が株式上場や成長を目指す企業などの成長戦略と企業再建や経営改革なので、いつも参考にしている名将を取り上げている。その意味では、本書は彼らについてのいわば筆者流歴史活用法である。
本書で取り上げた真田信繁(幸村)や信長、秀吉、家康については、過去幾多の作家や歴史家がさまざまなかたちで書き評論してきた。もしかすると何百の作家によって書かれているかもしれない。否、それ以上かもしれないが、ベースとなる史実やエピソード、伝承などはほぼ同じだ。
そんな中で、史実やエピソードの内容などはほとんど変わらないが、筆者の視点から、彼らの哲学や考え方、ビジョンや戦略、戦術をどう活用するか、現代のビジネスにどう生かすかという私なりの活用法という点に力をおいて『名将の戦略』は執筆している。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授