「現場力」の第一人者、ローランド・ベルガーの遠藤会長が、『生きている会社、死んでいる会社』というショッキングなタイトルの書籍を出版、「創造的新陳代謝」の大切さを指摘する。
「企業経営者と会うと、イノベーションが生まれない、新しい事業が育たない、といった悩みを聞くが、実はそれ以前に大きなエネルギーや生き生きとした活気を感じることができない企業があまりにも多い」と危機感を募らせるのは、「現場力」の第一人者、ローランド・ベルガー日本法人の遠藤功会長だ。
遠藤氏は、三菱電機での勤務の後、戦略コンサルティングの仕事に身を投じ、以来30年、戦略策定のみならず、その実行支援を伴った、結果の出るコンサルティングとして評価されている。数年前に集大成として、強い現場、非凡な現場をつくる論理や実践法を「現場論」(東洋経済新報社刊)としてまとめたが、そのときから、会社とは何か?、つまり「会社論」に関する考えも著してみたいと考えてきたという。『生きている会社、死んでいる会社』(東洋経済新報社刊)という何ともショッキングなタイトルの新著が生まれた。
「実名は明かせないが、V字回復をしてもてはやされている好業績の企業でも現場に行くと“うちの会社は死んでいる……”という声を社員から耳にする。しかし、経営者はそうは思っていない。幹部も経営者の顔色ばかりうかがい、現場は右往左往するばかり。結果、品質データ改ざん問題のような不祥事につながり、会社を危機に追い込んでしまう。現場の社員が誇りを持って生きているか? 今こそ問い掛けてみるべきだ」と遠藤氏。
デジタルテクノロジーを活用し、既存のさまざまなビジネスを変革しつつあるAmazon.comだが、その創業は1990年代半ばまでさかのぼる。遠藤氏は、同社が創業から20年以上を経てもなお起業家精神に富んでいる背景には、「Every day is still Day One」(毎日が創業初日)という企業理念をジェフ・ベソスCEOが唱え続けてきたことにあるとみている。
「新興企業には老廃物やぜい肉がなく、新しいことにどんどんチャレンジできる。ダメならやめ、次を考える。現場が創造だけに専念できる状態がDay Oneだ。現場に創造を求めるのであれば、経営者はその邪魔になるものを排除し、新陳代謝を促していかなければならない。求められているのは、創造的な代謝戦略だ」(遠藤氏)
もちろん、こうした取り組みは米国企業の専売特許ではない。今年、創業100周年を迎えたパナソニックにも創業者・松下幸之助氏の「日に新た」という考え方が脈々と生きている。
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明治学院大学 経済学部准教授