リーダーの必要性が叫ばれていても、育て方は確立されていない。ではどうすればいいのだろうか。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
私は企業の変革プロジェクトを支援する仕事をしているので、「さあ、これから変革を立ち上げるぞ!」というタイミングで相談に乗ることが多い。ここで必ず問題になるのは「こんな大胆な変革を任せられるリーダー、ウチの会社にはいないんだけど?」である。
いないのは全体責任者だけではない。プロジェクトの要所要所に配置する頼りになるメンバーが、そもそもほとんどいないのだ。そんな人材はいろいろな仕事にひっぱりダコだから当然だ。
いないのだから、育てるしかない。でもどうやって? 企業で一般的に採用されているリーダー育成方法をざっと眺めてみよう。
リーダーを育てたいのだから、トレーニングを受けさせよう。忙しい本業を休めるのは、せいぜい3日かな。おっこれは手っ取り早そうなトレーニングだぞ……。
みたいなノリで、研修センターに送り込む。そういう研修を僕も1回やってしまったことがあるので、なぜこの手のトレーニングで人が育たないかざんげしておこう。
こんな感じだ。
日本企業でこれまでやられてきたOJTは、会社によってかなり差がある。トレーニングでも何でもなく、単に丁稚奉公させる会社もあれば、手取り足取り先輩が仕事を教える会社もある。だが、近年になって現場に余裕がなくなったり、成果主義で先輩後輩の関係が希薄になったりで、後者の会社はかなり減ったのではないだろうか。
「俺は炎上プロジェクトで鍛えられた」と語る人は多い。でも、そう語るのは炎上を生き残った人だけだ。実際にはその何倍も、炎上でキャリアを傷つけられた人々がいる。もう二度と厳しい局面で矢面に立ちたくない、と社内引きこもりになってしまった人もいる。IT業界を中心に、この方法を信奉する人は多いが、あまりに乱暴なのではないだろうか。
……といったように、これだけリーダーの必要性が叫ばれていても、育て方は確立されていない。
だが私が参加するプロジェクトでは、お客さんである普通のサラリーマンがリーダーに育っていく。
もともとはリーダーを育てようなどと、大それたことは考えていなかった。単に、取り組んでいる変革プロジェクトを成功させるために、与えられた戦力を最大限活用しようとしただけだ。
だがあまりにも毎回「何より、ウチの社員があんなにたくましくなって!」と経営者の皆さんが言うので、どうやら自分たちのやっていることが、確立されたかなり効果的なリーダー育成法なのではないか? と思うようになった。気付くまでに15年ほどかかったが。
この、15年をかけて練り上げた「変革プロジェクトをやりながら人を育てる方法」を、私たちケンブリッジを雇わなくても実践するための教科書をこの度発売することができた。「リーダーが育つ 変革プロジェクトの教科書」というタイトルだ。360ページの分厚い本なので全ての秘訣はここで紹介できないが、エッセンスを書いていこう。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授