新たな製造業の世界ではどのような事業機会が生まれるのだろうか。またその事業機会に対して日本のメーカーはどのような戦い方をするべきだろうか。
技術の進歩に伴い、製造業は進化を続けている。直近の進化は、モノがインターネットに接続されるIoTが、大きな原動力となっている。
IoTが製造業の世界にもたらす進化は、端的に言えば、「つながる」範囲が拡大する、ということだ。機械間、工程間、工場間のようにメーカー内でつながる、ということに加え、メーカー間、ひいては、製造業と物流業、小売業、調達元、販売先、までもがつながる、企業を超えたつながりの拡大によって、新たなものづくりの世界が生まれようとしている。この流れは、5Gの普及に伴い、さらに加速していくだろう。
では、新たな製造業の世界ではどのような事業機会が生まれるのか。またその事業機会に対して日本のメーカーはどのような戦い方をするべきだろうか。
企業を超えてつながる、という進化に対してはどのような事業機会が考えられるだろうか。企業を超えたつながり、はまだ黎明期にある。
サプライチェーン間のつながり、では調達と製造、製造と物流、のような近接した領域に加え、顧客をもつなげたプラットフォーム構築が考えられる。中国のアリババは、「ニューマニュファクチャー」戦略の中で、アリババのプラットフォーム上でメーカーと他の事業者、エンドユーザーまでをつなげるという構想を掲げており、新たなものづくりの在り方を提唱している。
メーカーと顧客のつながりにより、価値ベースでのサブスクリプション型の料金徴収も可能となる。PaaS(Product as a Service)に代表されるこのモデルは、顧客のメリットが大きく、ニーズは大きい。しかしながら、提供側のメーカーにとっては、キャッシュインのタイミングが遅れることが最大のハードルとなる。そのため、売り切りからサブスクリプション型のモデルへの転換は、長期的観点で徐々にサブスクリプション比率を高めていくことが必要となる。サブスクリプション型の事業機会をつかむには、参入時期の早さが重要となる。
また、メーカー間のつながりでは、製造業各社をつなげた製造プラットフォーム構築に事業機会がある。顧客の発注に応じ、プラットフォーム内の最適なメーカーが製造してくれる、という仕組みを構築するのである。中小企業が約400万社ある日本では、プラットフォーム化による機会は大きい。その先には、プラットフォームによるものづくりを支えるインフラを提供する、という事業機会もある。例えば、製造プラットフォームに対して品質保証の仕組みを提供する、ということも考えられる。
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明治学院大学 経済学部准教授