人生は動線選択の連続。そんな日々の動線をどう選ぶべきか。
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私はトヨタの現場でメカニックとして働いていましたが、普段から「動線」のことをたたきこまれていました。ここでいう「動線」というのは、何をどこに置き、社内をどの経路で動くべきか、という道筋です。
あまり知られていませんが、トヨタの現場では日頃から動線について厳しく指示されており、それこそ“踏み出す一歩”にいたるまで考えさせられることが多くありました。
本書「動線思考」では、そんな「日々の動線をどう選ぶべきか」という思考をまとめています。
思えば人生は「動線選択の連続」ではないでしょうか。
例えば最近の話題として「年金2000万円不足問題」があります。どうやら年金制度に不安があり、「老後は2000万円足りない」といううわさを聞いた。この話を聞いて、あなたはどう動くでしょうか。
3つ目のデモ参加については炎上にも発展しましたが、本当にデモに参加することが適切な選択なのだろうか、と私も疑問に思いました。
さらに皆さんに身近な動線としては、通勤があるでしょう。車やバイクで通勤する人もいると思いますが、ここでは電車通勤を例に挙げてみましょう。
電車で通勤する際には、“満員電車”が当たり前になっています。ただ、私も経験がありますが、数回乗ったところで「この動線は2度と選ばないようにしよう」と誓いました。電車の中に大勢の人が詰め込まれ、ゆっくり本を読むなんてもってのほか。他人の体が容赦なく自分にぶつかってきてストレスが半端ないのです。
「こんなに体力を消耗してストレスを感じるようでは、まともな仕事なんてできない」と考え、何としても避けようと決意しました。そうして私は、ストレスを感じなくなる時間帯を探るべく、どんどん早い時間の電車へと移行していったのです。
通勤では、会社に着いてからの動線でも同様のことが言えます。都内のオフィスビルなどで良く見かける光景ですが、朝からエレベーターホールに長蛇の列ができていないでしょうか。その長蛇の列に並んでエレベーターの到着をただひたすら待つというのは、良くない動線の1つと言えます。
エレベーターの性能にもよりますが、混雑がひどい時には3分くらい待ってしまうこともあるでしょう。1日3分エレベーターを待つとして、年間の就業日数が120日だとしたら360分。つまり6時間です。1年のうち6時間もエレベーターを待っていることになります。6時間あったら何ができるでしょう。
エレベーターを待たないためにできることはないのでしょうか。早く出社して空いているうちに乗るというのは当然の選択肢ですし、低層階であれば動線を階段に持っていくべきでしょう。毎日階段を上がっていくという選択をすれば、「エレベーターを待つ時間」ではなく「トレーニングの時間」に転換させてしまうことができるのですから。
さらにランチタイムで考えてみても、同じことが言えます。オフィス街の飲食店はランチタイムになると大混雑します。人気のお店になれば大行列もできて、並んでいる人をみていると疲れた顔をしています。ランチタイムというのは休憩時間だというのにもかかわらず、です。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授