連載
» 2020年06月29日 07時07分 公開

視点:PMOのポテンシャルを最大化する〜いかにして変革プログラムを成功に導くか〜 (1/2)

数多くのPMO支援経験から得た5つのTo-Do'sとは?

[田村誠一,ITmedia]
Roland Berger

PMOの成功確率は16%

 大胆な企業変革に乗り出す時、多くの企業では、PMO(Project Management Office)が組織される。ここでいう企業変革は必ずしも再生局面に限らない。ドイツ語圏15業種288社を対象としたローランド・ベルガーの調査によれば、戦略危機、収益危機、財務危機といった戦時に組成されたPMOは全体の43%、むしろ平時組成型が過半を占める。PMOは、企業変革を成功に導く不可欠な組織として、企業活動に定着している。

 PMOの役割は、変革プログラムを先導し、実行段階に頻発する障害を排除すること。しかし、PMOが期待通りの価値を発揮するケースは極めて少ない。先の調査によれば、当初計画を達成できたPMOはわずか3%、計画達成度75%を「成功」と見なしても、その割合は16%にとどまる。変革に「想定外」は付きモノとはいえ、実に41%のPMOが計画達成度50%未満に終わっている。

PMOを成功に導く主要因

 先の調査から、PMOの計画達成度と相関の強い要因を抽出しよう。(図A参照)第一に「経営陣のコミットメント」。優先度の低い企業の計画達成度が33%強にとどまる一方、高い企業の達成度は67%超。スピアマンの順位相関係数(ρ)は0.99に達する。しかし現実には、経営陣自らリーダーシップを取らず、管理部門や機能部門長にPMOを丸投げするケースが往々にして見られる。

図A:PMOを成功に導く主要因

 次に「ITツールの活用」。プロジェクト管理にITを積極活用する企業の計画達成度60%に対し、消極的な企業の達成度は38%(ρ=0.96)。ITの効用は明白だ。それでも、PMO組成段階で最適な ITツール選定に注力するケースは少ない。結果、プロジェクトは時代遅れの自社製管理ツールに翻弄(ほんろう)される。

 「支援期間の長さ」も大切だ。通常、PMOはおよそ5カ月の組成期間の後、20カ月超にわたって変革プログラムの支援にあたるが、支援期間1〜3年のPMOの計画達成度が71%に達する一方、1年未満のPMOの達成度は52%(ρ=0.84)。より具体的には、最低でも1.5年以上継続することの重要性を示している。PMO組成段階のモチベーションをいかにして実行段階以降も維持できるか、が計画達成度を左右する。

 「外部の活用」も興味深い。相関は決して高くないが(ρ=0.52)、よく見ると、100%外部依存することの危険性と同時に、50%〜75%の外部人材をPMOに導入することの有効性を示している。「他力に頼るな」は半分正しいが、半分誤りだ。

経営環境に応じた成功要因の違い

 企業変革の目的は多岐にわたる。事業モデル革新、組織文化変革、収益力強化、全社リストラクチャリング。変革の背景もさまざま。一つとして同じモノはない。直面する課題の複雑性や緊急度に合致したPMOが必要だ。全体の57%を占める平時組成型PMOと、43%を占める戦時組成型PMOでは、重視すべき要因も違って然るべきだろう。

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