気候変動は、確実に2020年代のCEOアジェンダである。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)パンデミック発生前の本年1月、世界経済フォーラムは恒例の「グローバルリスク調査報告」を公表した。15回目となる今回は、30歳以下の200人を新たに加えた約800人の専門家や政財界リーダーに対し、今後10年間で発生可能性の高いリスクと影響度の高いリスクを調査した。
結果、発生可能性の1位は「異常気象」、2位「気候変動の緩和・適応の失敗」、3位「大規模な自然災害」、4位「大規模な生物多様性喪失と生態系崩壊」、5位「人為的な環境破壊・災害」。初めて、上位5リスク全てを環境関連が独占。
影響度の1位は「気候変動の緩和・適応の失敗」。2位「大量破壊兵器」を除き、こちらも上位5リスクを環境関連が占めた。関連性の高いリスクの組合せの1位として、「異常気象」+「気候変動の緩和・適応の失敗」があげられるなど、気候変動は、確実に2020年代のCEOアジェンダとなった。
気候変動に対する関心は生活者にも浸透している。特に若年層の環境意識が高い。トランプ政権下の米国ですら、「地球温暖化は人類がもたらした」と考える人の割合は、55歳以上で55%、35〜54歳で62%、18〜34歳では75%に達する。「地球温暖化は人生に深刻な脅威を与える」と考える人の割合は、それぞれ29%、47%、51%。気候変動は、もはやメディアの誇張ではない。西欧諸国生活者の環境意識の高まりは、日本のそれをはるかに超える。むしろ、日本の危機意識の低さに危機感を覚える。
投資家も同様だ。グローバルのESG投資残高は30兆米ドルを超え、運用資産全体における割合は36%に達する。国別には、米国26%、欧州49%、カナダ51%、豪州63%。18%にとどまる日本が際立つほど、投資行動は変化している。
生活者や投資家の変化を受け、企業活動にも変化が見られる。例えばS&P500。ESG原則を積極開示する企業の割合は、2011年の20%に対し、2018年は80%にまで急増した。
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明治学院大学 経済学部准教授