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» 2020年07月15日 07時05分 公開

第5回:リモート環境による仕事の丸投げが非効率なワケ新人が勝手に育つ「10秒会話と質問」(2/2 ページ)

[島村公俊,ITmedia]
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新人の丸投げ相談は、早々に却下すべきか?!

1、丸投げ相談の却下は、質問で判断する

 リモート環境が日常化する中で、部下からの相談に、より真摯(しんし)に耳を傾ける必要性が高まっています。なぜなら、リモート環境ですと対面より相談回数が少なくなる傾向があるからです。

 しかし、部下から相談の中には、自らほとんど考えていない、「丸投げ相談」が見受けられます。例えば、「〜について困っていて、とにかく解決策を教えてください」のような相談です。この相談は部下なりの意見がなく、ただ上司に委ねてしまっています。

 私たちは、丸投げ相談にいちいち丁寧に対応していたのでは、いくら時間があっても足りません。また、それではいつまでたっても部下は、「自ら育つ」ようにはなりませんので、主体的な相談の仕方を覚えさせることが肝要です。

 部下から先ほどのような「丸投げ相談」をされたら、次のせりふをまずは伝えましょう。

 「〜さんはどうしたいんですか?」

 おそらく、このせりふを突きつけられた部下は、オンラインの画面上で、しばし無言になるでしょう。日頃から自分自身で考えていないとなかなか意見が出てきません。これは、別の表現をすると、上司からのアドバイスを忠実に実行することしか考えていないともいえます。

2、却下の理由は、「あなたの考えを聞きたい」

 そして、先ほどのせりふを伝えたら、次のメッセージも伝えください。

 「次から間違ってもいいから自分の考えを持って相談にきてください」

 ここでは、「あなたの考えを聞きたい」ということをしっかりと示してください。その上で、状況のみヒアリングして相談をいったん切り上げ、次回の相談日をその場でセットしてください。その間にしっかりと自らの頭で考えさせるのです。

 具体的なやりとりで説明します。

 部下:「販促企画案が全然浮かばないんです。教えてください!」

 上司:「ちなみに、〜さんはどう考えているのかな?」

 部下:「……」

 上司:「まだ考えていなかったら、一度考えてみて、〜さんの案を聞かせてほしい。明日の朝、もう一度オンライン会議セットしてもらえるかな?」

 このような対応をすれば部下は、次のような自分なりの考えをつけ加えた相談をしてくるようになるでしょう。

 部下:「昨日は失礼しました。販促企画案なのですが、他業界で成功したという〜のアプローチを取り入れた販促案がよいと考えました。今回はこれを試したいのですが、ご意見伺えないでしょうか?」

 実際に、「自分なりの意見を持った相談」をされると分かるのですが、スムーズにことが運ぶことが多いのです。依存型の質問に比べると部下自身が考えた仮説があるので、的確な回答、アドバイスがしやすくなります。

3、主体的な相談は、育成効率を高める

 主体性のない丸投げ気味の相談をされると、上司は部下に詳細の質問をしないと状況がつかめないので非効率的です。また、部下も考え抜いていないので、成長につながりづらくなります。このように、部下の考えを大切にする意図がしっかりと伝われば、双方ともによい相談の場になり、育成もスムーズに進みます。

 今後、もしあなたのところに新人が相談してきた際、自分自身の意見が含まれていなければ愛を持って却下してください

 きっと新人は、自らの意見を発信することに初めはちゅうちょするものの、しっかりとそれを上司が受け止めようという姿勢を示せば、新人は「自分の考えを発信してもいいんだ」「自分の考えを聞いてもらえる可能性があるんだ」と感じ、次第に自らの発信ができるようになっていくでしょう。

著者プロフィール:島村公俊

人事系コンサルティング会社を経験後、2006年ソフトバンク(旧ボーダフォン)入社。

ソフトバンクユニバーシティの立ち上げに参画し、研修の内製化をリードする。

日本HRチャレンジ大賞人材育成部門優秀賞、ソフトバンクアワードの受賞をはじめ、アジア初で米国教育機関よりPike’s Peak Awardを受賞。その他、千人規模の新人研修やエルダー(OJT、メンター)教育にも携わり、新人、若手の早期育成にも貢献する。

2015年に講師ビジョン株式会社創業。社内講師の育成トレーニング、OJTトレーナー研修、新人研修などを提供する。近著に『10秒で新人を伸ばす質問術』(東洋経済新報社)がある。


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