外圧も相まって進むコーポレートガバナンス改革に比し、執行部門改革はどうか。相変わらず生産性の低い経営会議を継続していないだろうか?
2014年6月に閣議決定された「日本再興戦略改訂2014」において、「改革に向けての10の挑戦」の一つとして「コーポレートガバナンスの強化」が掲げられた。このガバナンス改革の両輪が、スチュワードシップ(SS)・コード(2014年2月策定、機関投資家の行動原則)とコーポレートガバナンス(CG)・コード(2015年6月適用開始、上場企業の行動原則)だ。
2017年5月、改訂版SSコードで、運用機関のガバナンス・利益相反管理の強化を促進。2018年6月、改訂版CGコードと対話ガイドラインで、資本コストに対する認識向上や戦略投資を求めるとともに、CEOの選解任プロセスや取締役会の多様性、政策保有株式の縮減などが盛り込まれた。2020年3月には、SSコードが再改訂され、投資活動にESG要素を含めた持続可能性を考慮すること、議決権行使の賛否理由公表などが加えられた。
一連の改革により、企業のROE(自己資本利益率)とPBR(株価純資産倍率)は上昇(ROE: 7.16(2014)→8.80(2018)、PBR:0.97(2014)→1.24(2018))。CGコード補充原則4-11(3)「取締役会の実効性評価」のコンプライ率(実施率)も向上、東証一部で83.6%に達する。(図A1参照)
外圧も相まって進むコーポレートガバナンス改革に比し、執行部門改革はどうか。“トップマネジメントはチームとして機能しなければならない”(ピーター・ドラッカー)はずが、相も変わらず生産性の低い経営会議を継続している企業は少なくない。
CFOが、各事業部門から収集した前月の月次決算数値と当月の着地見込み数値を淡々と報告。居並ぶ役員は、CFOの報告をよそに、下を向いたまま夢中で蛍光ペンを走らせる。事業部門長の判で押したような改善策に、CEOが判で押したような突っ込みを入れる。その間、他の事業部門長は、毎月繰り返されるやりとりにあきれながら、内職(emailの返信)に没頭する。コーポレート起案の規程変更議案は、細かな文言で盛り上がって時間超過。大規模な設備投資案件は、意思決定に足るデータが不足しているという理由により再審議。一方、CIO起案のIT投資案件は、用語の意味を問う質問が出ただけであっさり承認。かくして、長時間に及ぶ経営会議は終了。
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