仕事において貢献する者は、部下を貢献に方向づけるためにどんなコミュニケーションをしているのだろうか。
今回のテーマは、成果をあげる人の第5の習慣、「コミュニケーションを行う」だ。
communication のcommu は、「共有する」という意味だ。コミュニケーションとは、「お互いの考えを共有できる状態になるための働きかけ」といえる。翻ってコミュニケーション力があれば、良い人間関係をつくることができるだろうか。
ドラッカーはこう言っている。
対人関係の能力をもつことによってよい人間関係がもてるわけではない。自らの仕事や他との関係において、貢献に焦点を合わせることによってよい人間関係がもてる。そうして人間関係が生産的となる。生産的であることが、よい人間関係の唯一の定義である。
ピーター・ドラッカー
誰もが一人の人間として責任をもって仕事をしている。誰もが組織の一人として人間関係に責任をもって仕事をしている。そして、誰もが誰かと関わりながら成果をあげる。大事なことは、お互いが貢献に焦点を合わせることにある。成果をあげる人は、常に自分と相手を貢献に方向づけることを習慣にしている。
会社はトップで決まる。一つ一つの部署は責任者で決まる。上司で決まる。仕事において貢献する者は、部下を貢献に方向づけるためにどんなコミュニケーションをしているのだろうか。
ドラッカーはこう言っている。
仕事において貢献する者は、部下たちが貢献すべきことを要求する。「組織、および上司である私は、あなたに対してどのような貢献の責任を期待すべきか」「あなたに期待すべきことは何か」「あなたの知識や能力を最もよく活用できる道は何か」を聞く。こうして初めてコミュニケーションが可能となり容易となる。
ピーター・ドラッカー
成果をあげる上司は、部下を自分の思い通り動かそうとしない。「自分が担うべき責任は何か」「自分が期待されていることは何か」「自分の強みを生かしてどのように成果をあげるか」ということについて、部下本人に考えさせる。こうして、貢献に焦点を合わせるよう部下をきちんと方向づけている。
「俺は白紙だ。なんでも言ってくれ。聞かせてくれ」
これは三洋電機株式会社の創業者、松下電器産業を経て現在のパナソニックの創業メンバーでもある井植歳男の言葉だ。
何を言ってもダメ出しをする人がいる。その一方で、こちらの話をよく聞いてくれる人がいる。前者は組織を通じて成果をあげられず、後者は組織を通じて成果をあげている。成果をあげている人は聞き上手の人が多い。聞き上手の人には情報がよく入ってくる。人の考えを聞くことによって、より自分の考えの不備を発見することができる。成果をあげる人はこうして「コミュニケーションを行う」。人のいうことを聞く意欲、能力、姿勢を持っている。
人好きで人助けがうまく、有能で頭がよくても、組織の力を発揮できずに成果をあげられない上司がいる。それはどんな上司なのだろうか。
ドラッカーはこう言っている。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授