モチベーションは週一作戦会議で維持する経営者からオリンピック選手まで行っている「すぐやる」習慣の極意(2/2 ページ)

» 2021年03月17日 07時09分 公開
[大平信孝ITmedia]
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 確かに、今まで振り返りという名の反省しかしていなかった人というのは、どうしても「振り返り=反省会、ダメ出し大会、ざんげする時間」と捉えてしまうことがよくあります。というのも、私たちはそうやって育ってきたからです。ですので、まずは振り返りの定義を変えましょう。 「振り返り=反省」ではありません。「振り返り=作戦会議」です。振り返りは、自分が行きたい未来、実現したい夢や目標に近づくための未来作戦会議です。

振り返る「順序」で成果が変わる

 未来作戦会議をスムーズに実行するポイントは振り返る「順序」です。

 漫然と振り返りをすると、「失敗したこと、うまくいかなかったこと、やり残したこと」といった「ネガティブなこと」のオンパレードになりがちです。 そうなると、後悔したり、ひたすら反省したり、自分にダメ出ししたりして、結果的にモチベーションが下がっていきます。

 「こんなことなら振り返らないほうがよかった」とため息が出てくる人さえいます。 ですから、振り返りをするときは必ず 「よかったこと」から振り返ってください。 たとえ、「よかったことなんてない」「ネガティブなことしか思い浮かばない」という場合でも、基準を極限まで下げれば必ずよかったことは見つかります。 そのよかったことを、どんな小さくささいなことでもいいのでまず箇条書きにしてみてください。

 そうしてよかったことを箇条書きにした「後」に、悩みや課題、心配事について目を向けていく時間も確保します。 このように、ポジティブ→ネガティブという順番で振り返ることで、必要以上に自分を責めることなく、冷静に客観的に課題に向き合うことができます。これが、結果的にモチベーションを高めることになります。

「週1作戦会議」のすすめ

 高いモチベーションを維持するための振り返りは、どれくらいの頻度で実践すればいいか気になっている人もいると思います。「1週間ごと」というのが、意外にも効果があるのでおすすめです。

 私が週1をおすすめする理由は3つあります。 第1に、週に1回であれば、なんとか時間を確保でき、実際に行動できるからです。「毎日」となると、つい忘れてしまったり忙しすぎて時間が確保できなかったりすることもあるでしょう。「毎月」となると、間隔があきすぎて忘れてしまうこともあるでしょう。 これが週に1回だと、どんなに忙しい時期でもなんとか時間を確保できます。仮に実行できなかったとしても、翌週にすればいいわけですからリカバリーがしやすいのです。

リセットのチャンスが年に50回

 第2に、年に50回リセットするチャンスを得られるからです。仮に、今週うまくいかなかったとしても、週単位で考えることで週末にリセットして、翌週から新たに挑戦することができます。毎週振り返りをしてリセットするとすれば、1年で50回も挑戦できるだけでなく、リセットする機会も多くなり、試行錯誤しやすいのです。

 時間や気持ちに余裕があるときは、ちょっとハードルを上げてチャレンジをする週にしてみたり、逆にスケジュールが詰まっているときは徹底的に守る週にしてもいいわけです。

 第3に、軌道修正しやすいからです。うまくいってもいかなくても、週ごとに振り返りをして目標を立てることで、軌道修正がしやすくなります。実際に1週間単位で行動してみると、納得感やインスピレーション、成果を得られることもあるでしょう。 逆に、違和感を覚えたり、うまくいかないこともあるでしょう。さらに、相手からのリアクションやフィードバック、アドバイスなどから、さまざまな情報を得ることもできます。そこから軌道修正していけばいいのです。

 「ちゃんと思考」が強すぎる完璧主義の傾向がある人は、ちゃんと計画して用意周到にシミュレーションしてから着手しようと考えているうちに時間だけが過ぎてしまいがちです。最悪の場合、チャンスを逃すことすらあるでしょう。 この点、1週間単位で考えて、小さく行動することで、軌道修正や試行錯誤がしやすいのです。これからの激動の時代は、「仮決め仮行動」でフットワーク軽く挑戦姿勢を持つ人がチャンスをつかみ、次世代リーダーとなっていくでしょう。

著者プロフィール:大平信孝

目標実現を専門とするメンタルコーチ。アンカリング・イノベーション代表取締役。

脳科学とアドラー心理学を組み合わせた、独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発し、これまで1万人以上のリーダーのセルフマネジメントや人材育成に関する悩みを解決。また、オリンピック出場アスリート、トップモデル、ベストセラー作家、経営者など各界で活躍する人々の目標実現・行動革新サポートを行う。

近著に『先が見えなくても、やる気が出なくても「すぐ動ける人」の週1ノート術』(PHP研究所)がある。


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