生活習慣病予備軍として、「メタボ」もリスクの第一歩。メタボの診断基準は、腹囲が男性は85センチ以上、女性は90センチ以上。また血圧の上が130?Hg以上、下が85?Hg以上、中性脂肪が150?/dl以上、HDLコレステロールが40?/dl未満、空腹時血糖値が110mg/dl以上のうち、2つ以上が当てはまるとメタボである。肥満・メタボの割合は、肥満の男性が30%、女性が20%、40〜74歳のメタボの男性が50%、女性が20%である。
「メタボ対策自体が、生活習慣病の予防に有効です。“コロナ太り”という言葉通り、コロナ禍で太った人は多くいます。メタボの多くが複数の危険因子をあわせ持っていて、危険因子が重なるほど、脳卒中、心疾患を発症する危険が増大します。3つ以上の危険因子を持っている人は、持っていない人の36倍リスクがあるので注意が必要です」(池井氏)
(3)聞き取り
聞き取りでは、ハラスメントや人間関係、ストレスやメンタル不調が確認できる。メンタル不調とは、うつ病、統合失調症、適応障害など。現在、メンタル不調の患者は、400万人以上といわれている。うつ病のイメージは、一般的にはネガティブだったり、元気がなかったりというイメージであるが、実はさまざまな症状がある。
池井氏は、「うつ病の症状は、抑うつ気分、興味または喜びの喪失、食欲減退、不眠などさまざまあり、一般の人が、うつ病を診断するのは困難であり、危険です」と話す。会社の仲間に元気がない、体調が悪そうだと思ったときに有効になるのが、次の2つの確認方法である。
(1)休みは何をしていましたか?
(2)夜はよく眠れていますか?
「休みに何をしていたかを聞いたときに、毎週欠かさなかった草野球に行かなくなった、昼過ぎまで寝てしまうようになった、好きな番組を見ても笑わなくなったなどの答えだと心配です。また、夜はよく眠れていますかと聞いたときに、睡眠時間が6時間以下、夜何度も目が覚める、朝疲れが抜けていないなどの答えも心配です。うつ病の患者は、パワーがなくなった状態なので、楽しいことも楽しめなくなります」(池井氏)。
メンタル不調者との接し方として、「がんばれ」といわないことが必要だが、それだけでは不十分。メンタル不調者には、「伝えるべき5つのこと」と「言ってはいけない5つのこと」がある。
伝えるべき5つのことは、次の通り。
(1)体調悪そうだけど大丈夫?(心配していることを伝える)
(2)それは大変だったね(つらさを理解する)
(3)いつでも相談して(サポートする意思を伝える)
(4)ゆっくり休んでみよう(負荷、疲労を減らす)
(5)産業医に行ってみようか(信頼関係を築けたら医療機関に誘導)
言ってはいけない5つのことは、次の通り。
(1)そうか、でも……(否定に聞こえる)
(2)分かる、俺も……(分かるはずないという思いがある)
(3)どうして? どうすれば?(判断力はない)
(4)気分転換に……(まずは休養)
(5)……すべき(体調がよくなるまでは最大限優しく接する)
池井氏は、「健康管理には、勤怠管理と健康診断等の有益な情報を活用し、病気になる前の段階でアプローチすることが必要です。またコロナ禍では、コミュニケーションや管理が難しくなるので、リモートによるコミュニケーションの機会を定期的に作ったり、睡眠に関する調査をしたりといった確認を、いままで以上に徹底することが重要です。うまくいかない、コツが分からないなどあれば、お気軽にお問い合わせください」と締めくくった。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授