リスキリング必須の時代! 学びで人生は変わる!ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

いま、ビジネスパーソンの「リスキリング」がクローズアップされている。DXなどによる大きな変革の波に適応するため、あらゆる世代が「学び直し」を迫られる時代ともいえる。しかし、他者から押し付けられた受け身での学びからは、やらされ感しか生まれず、自律的なキャリアは拓けない。ではいかにして「ワクワクする学び」を自ら創り出し、主体的に人生を変えていくか。その道を考察する。

» 2021年12月16日 07時00分 公開
[前川孝雄ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


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DX時代の到来で、リスキリングが必須に?!

『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』

 いま、ビジネスパーソンの間で一種の流行語になっているのが「リスキリング」。

 言葉じたいは、「新しい技能を身につける(身につけさせる)」「再学習(再教育)を行う」という意味です。「学び直し」と言い換えてもよく、特に新しい概念ではありません。

 しかし、今日改めてクローズアップされる理由を知るには、次の定義が象徴的です。「リスキリングとは、新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること。近年では、特にデジタル化と同時に生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業につくためのスキル習得を指すことが増えている」(経済産業省「第2回 デジタル時代の人材政策に関する検討会」〈2021.2.26〉資料『リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流』リクルートワークス研究所)。

リスキリングへの抵抗感

 すなわち、いまやDX(デジタル・トランスフォーメーション)によるビジネスと企業の変革が必至である。そこで、これに対応して中堅・ベテラン社員も含めた新たなスキルの修得が必須であり、そのための学び直しが不可欠となっている。

 ―リスキリングは、こうした文脈で論じられているのです。

 確かに、経営や人事の観点からは、第4次産業革命ともいわれる大転換の時代への対応は喫緊の課題でしょう。しかし人によっては、いきなりDXスキルの修得に挑むべきと迫られても気後れするばかり。何より「やらねばならない」との脅迫観念に追い立てられる学び直しは、苦痛以外の何物でもありません。

 リスキリングという言葉に抵抗感を抱く人は、少なくないのです。

つらい勉強と楽しい学びの違い

 少々さかのぼりますが、私は前職のリクルートで『ケイコとマナブ』『仕事の教室』『好きを仕事のする本』『社会人・学生のための大学・大学院を選ぶ本』など、大人の学びをテーマにした雑誌の編集長を務めていました。その頃掲げていたコンセプトが「脱・勉強宣言」。あえて勉強ではない学びを推奨したのです。

 勉強という字は、「勉めることを強いる」と書きます。苦痛に耐えながら無理をして勉め、励むといった、そんな強いられた学びはただつらいだけです。そこで、自分の楽しみや喜びのための学び、自分を豊かにするための学びを目指すコンセプトとして「脱・勉強」を提唱し、誌名『ケイコとマナブ』は90年代に流行語にもなりました。

 私は、そもそも学ぶことは楽しいものだと信じています。そして、楽しいかつらいかの違いは主体性の有無です。人は、自分が興味を持ち、心から知りたい、学びたい、身につけたいと思うことなら、他人から言われなくても夢中で学びます。それは好きな遊びや趣味に没頭するのと同じで、何とも楽しいものです。

ワクワクする関心からの学び

 私が営む会社では、企業研修や講演会とともに、個人が自ら希望して参加するセミナーや講座も開いています。比較すると、自ら関心をもち学びと交流の場を求めて集う参加者のほうが、最初から積極的で楽しそうです。

 それに対し、「習得しないと置いていかれる」「試験に合格しないと昇格できない」といった脅迫観念や恐怖心からの学び、また命令されて不承不承参加する受け身の研修などは、「つらい勉強」になる傾向があります。

 たとえ同じ学びの内容であっても、主体性の有無がつらさと楽しさの分水嶺となるのです。自分の内面から湧き出す希望や、ワクワクする関心の延長線上で学びを考え、関わっていくことが大切なのです。

学びで人生は変わる

 学びによって、今まで自分が知らなかった新しい世界を知ることで、視野が広がったり、思索が深まったりします。これはまた、結果として未知の自分、本当の自分を知っていく営みでもあります。

 そこで、学びを通して会社の外の世界に一歩出てみることをお勧めします。自分が心から興味や関心を持ち夢中になれること、自分を活かせることの答えは、自分自身の中にあります。でも、私たちは自分の潜在意識や持ち味に容易に気付けません。同質性の高い集団の?会社村?のなかで、同僚とのみ接し、組織の一員として働くだけではなおさらです。

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