上司と部下、お互いが「Will・Can・Must」についてしっかり話し合う、共有し合うことで、共に未来に進む推進力が増す。
第21回:超多忙なマネジャーを救う、メンバーの「納得」と「主体性」を引き出すコミュニケーション術
第22回:部下から共感を得られるマネジャーの方針の示し方とは?
第23回:部下に自己決定感を持たせることの大事さと、その具体的な方法
第25回:メンバーが「自然に本音を話せる1on1」になるまでの3ステップ
エグゼクティブの皆さんが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。
マネジャーやリーダーが抱える悩みやプレイングマネジャーの仕事の任せ方などについて、ベストセラー『できるリーダーは、「これ」しかやらない!』の著者で、らしさラボ代表の伊庭正康さんと当連載筆者の経営者JP代表・井上との対談の内容からお届けする第6回です。(2022年9月9日(木)開催「経営者力診断スペシャルトークライブ:できるマネジャーは、「これ」しかやらない!」)
1on1において、前号までで紹介してきたこと以外に上司の皆さんに大事にしてほしいことは次の2点ですねと伊庭さんは言います。
「部下に対して耳の痛いことであっても言いにくいことであっても、ちゃんとフィードバックをしよう」
「部下のWill・Can・Mustについてしっかり話をしよう」
「Will」とは、部下がいったい何をやりたいのか、どうなりたいのか。昨今の傾向で言えば、部下たちは必ずしも課長になりたい、部長になりたいとは思っていません。しかしマネジメントとして昇進を希望していなくても、何かなりたい姿、ありたい姿はありますよね。上司はそれをちゃんと把握しておきましょうということです。
「Must」は今任せている仕事です。「井上くんにはこの仕事をお願いしたいのですがそれって井上くんの将来やりたいこと、ありたい姿と結びついている?」「はい、結びついています」
「OK。じゃあこの仕事をする上での『Can』〜この能力も身に付けてほしいし、仕事を通じてこの『Can』を実現してほしいと思っているんだ」
こんな感じですね。伊庭さんは研修でもこのような会話のシミュレーションやトレーニングをよくするそうです。
上司の皆さんからよく出る発言としては、そもそも部下のやりたいことについての会話などしたことがないですし、「そんなこと聞いても、やりたいことなんか出てこないですよね」と言う人も少なくないですが、そうではありません。これまで「Wil」を考える機会がなかっただけで、やりたいことがないわけではありません。
仕事にとどまらず、「家族を大事にしたい」もあるし、「海外に留学したい」という人もいるかもしれません。1人ひとりの中に渦巻いているいろいろな「Will」のうち、断片でも知っておくことが大事です。
そもそも上司の側も、特に1社で長らく働いてきた上司は自分の「Will」が言えない人が多いですね。上司自身も自分の「Will・Can・Must」をしっかり見つめるべきです。その上で上司と部下、お互いが「Will・Can・Must」についてしっかり話し合う、共有し合うことで、共に未来に進む力が増すのです。
ここまで主に、上司の皆さんの「今どきのリーダーシップ」について1on1を素材に見てきました。
ここで意思決定について見てみましょう。伊庭さんは「決める力」について、大きく経験則で意思決定する人と論理で意思決定する人がいて、前者のタイプがなかなか通用しにくくなっていると指摘します。
「決めることについて経験則でしかできない人がいる一方で、ロジカルにちゃんと整理できていい筋が立てられる人はロジカルシンキングができています。世の中の環境変化が激しい中で、経験則が通用する場面が減ってきているなと思うんですよ。「決める力」について、経験則ではなく、きちんとロジカルに判断できる力は不可欠になってきているなと感じます。」
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授