「要件定義」という言葉から、新規のITシステムを構築する際の要件定義に使うものというイメージを持ったかもしれませんが、冒頭で使った言葉「可視化手法」がRDRAの本質です。新規の要件定義以外にも、長期の維持期間を経て有識者がいなくなり、下記のような課題をもった既存のシステムに対して、設計情報や断片的な暗黙知を見える化し、それぞれの関係をたどっていくことで、本来の要件を可視化(リバースモデリング)することができます。
【既存システムの課題の例】
筆者の会社でも、このリバースモデリングにより、システム再構築の方針策定や見積もりに役に立った事例や、開発者でもシステムの全体像や背景業務が見えるようになり、仕様変更の際に顧客と業務の言葉で会話するようになったなどの事例があります。
これまでのRDRAの説明はいかがでしたか? 良いところがあるなと感じるものの、下記はとても難しそうだと感じた人もいるのではと思います。
(1)何もないところからRDRAのモデルを作成(0:ゼロ→1:イチの作業)すること
(2)RDRAのモデルがあったとして、それを業務側が理解すること
近年の生成AI技術の進歩は素晴らしいものがあり、バリューソース社ではRDRAと生成AIの連携についても研究し進歩しています。
1、RDRAZeroOneツール(0:ゼロから1:イチを生み出すツール)
「システム化対象の背景と業務の概要」を入力にして、RDRAレイヤに沿って生成AIに案を提示してもらい、段階ごとに意図があっているかを確認しながら、要件の「たたき台」を作成することができます。
「たたき台」としているのは、いかに生成AIが学習したとしても、正確な要件を自動的に作成することは困難ですし、仮にできたとしても、成果と学習コストのバランスがとれないので、あくまでもステークホルダーが議論し、合意する要件を固めていくために、気づきを与える「たたき台」を作るということがRDRAZeroOneツールのコンセプトです。
(1)システム化対象の背景と業務の概要を入力
(2)3段階でLLMを実行し要件の方向性を持たせる
(3)LLMで作成した要件をRDRAGraphで確認
(4)(Spreadsheet)で要件を定義
(5)RDRA分析で不整合を検査
(6)RDRA分析からRDRAGraphで確認
2、GraphツールでのChatBot
RDRAのモデル情報をもとに、その全体や、関心があるところを中心にした図を自由に表現してくれるGraphツールが提供されていますが、表示されている図の説明をしてもらったり、何か変更を行う時の影響についての説明を生成AIを使って回答してくれます。
上記の説明を読んで、もう少し詳しく学びたいと思った場合は以下を参照ください。
【書籍】
【勉強会】
【参考リンク】
・RDRA
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授