マニュアルは「表紙」「目的」「使用用具」「作業手順」「注意事項」の5項目から成り立つ。いずれも大切だが、今回取り上げた作業手順と注意事項は重要性が高い。
マニュアルは理論的には、組織の縦の流れでは、経営理念、経営管理、業務マニュアル、職務マニュアル、作業手順書という構成で作成され、管理される。そして使われなければ意味がない。
自分の業務を遂行するために、どのように職務分担が行われるべきか討論するとよい。どのような責務があるのか認識できるだろう。
経営理念から作業手順書にいたる縦の構成、と販売マニュアルから総務、製造、購買といった各業務ごとの専門マニュアルが横に並列している。この縦と横の関係をしっかり見定めていかなければならない。
マニュアルを作成する場合に、最も大切なことはマニュアルがそれ自体で独立しているものではないという点である。4つの機能と3つの目的を確認して進めること。
マニュアルは時代の背景と歴史の中で2300年の歳月を越えて、現在の企業に役立とうとしている。そして国際化が進む中、国際標準に基づく管理はマニュアル抜きには考えられない。
人や状況が変わっても現状を維持するためには標準化が欠かせない。過去の歴史を振り返った時、勝敗の分かれ目が標準化にあった。
複数の人種を風土文化の異なる地域で協働させるためには、業務処理の標準とそれの文書化が必須である。
マニュアルは従業員の自主性を奪い、職場の活性化を損なうものといわれているが、そうだろうか。
改定を前提としないマニュアルは使われず、それはマニュアルではない。最終的にマニュアルは社員の手垢で汚れ、ボロボロになっていなくてはならない。
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授