マニュアルは組織と社員行動を意識して作成されなくてはならないマニュアルから企業理念が見える(1/2 ページ)

マニュアルは理論的には、組織の縦の流れでは、経営理念、経営管理、業務マニュアル、職務マニュアル、作業手順書という構成で作成され、管理される。そして使われなければ意味がない。

» 2012年11月12日 08時00分 公開
[勝畑 良(ディー・オー・エム・フロンティア),ITmedia]

 マニュアルはどのような態様で作成されても、最終的には行動手順書に帰結する。新入社員受け入れマニュアルも同様である。このマニュアルは全社の人事マニュアルという業務マニュアルを構成する職務マニュアルの一つである。ご存知のようにこうしたマニュアルは、相手によって異なるのが常識である。

したがって、対象によって、マニュアルを分ける場合がある。1つの例は定期的な採用者用と不定期採用者用に分けられる場合もある。採用の目的が異なれば企業側の対応方針や行動が違ってくるのは当然である。まったく職歴のない新人の場合、その社員の将来の活躍に重点をかければ、受け入れの基本は、企業的教養を身に付けさせる教育になる。

 教育の内容も経験が違う業歴者と新人とではまったく異なる。しかし、経営の基本方針は変わらない。「利益を上げて、存続する」ということが中心である。マニュアルに書かれる経営人事の上部方針は、この鉄則から離れることがないのである。しかし、この2つを1つのマニュアルとするか2つとするかは別の組織的判断をまたねばならない。

マニュアルは理論的には、組織の縦の流れでは、経営理念−経営管理−業務マニュアル−職務マニュアル−作業手順書という構成で作成され、管理される。そして、上位マニュアルと下位マニュアルとは相互に連携して存在している。しかし、実際面から見ると、具体的な作業手順を明示する作業手順書は、業務活動を行う社員にとって最も日常的で理解されやすいものである。

本章では、新入社員受け入れマニュアルは職務マニュアルとして説明する。従って、下部構造として、沢山の作業手順書を持つという形になる。言い方を変えれば、こうした多数の作業手順書を統括し、管理していくのが新入社員受け入れ職務である。実務遂行にあたっては、個々に担当する社員にマニュアルを通じて、自然な権限移譲が行われていくのは、当然のことである。    

職務を構成する作業手順は、独立した行動の連続である。行動は動作から成り立っている。巨大な企業も最終的には動作の連続から構成されている。この動作が1つあるいはいくつかが合わさり手順となる。

この手順が1つの統一された目的達成のために連続し、着手から終了までが明示され、記録されればこれが作業手順書となる。

前述したようにマニュアルには、4つの機能を具体的に体系化した3つのスタイルがある。すなわち、経営理念マニュアル、テキストマニュアル、オペレーションマニュアルの3つである。新入社員受け入れマニュアルは、この3つの体系を全て包みこんでいる。

結論的にいえば、個々にマニュアルにレツテルを貼って、分類し弁別することは意味がない。新入社員受け入れマニュアルは、理念マニュアル、テキストマニュアル、オペレーションマニュアルの3つを総合して作成することも一つの見識である。使用者が理解でき、使いこなせればそれで良い。

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