ニュース
» 2007年12月10日 09時02分 UPDATE

宋文洲氏が語る日中の違い「日本人は個人の自立が足りないよ」 (1/2)

10%超の経済成長を5年連続で記録した中国――中国市場に繰り出す日本企業は多いが、ビジネスのやり方の違いに戸惑うといわれる。中国人経営者として初めて東証1部上場したソフトブレーンの宋文洲氏は、日中のビジネスマンに「大きな違いを感じない」という。

[堀哲也,ITmedia]

 「日本人は、個人の自立が足りないよ」――ソフトブレーンのマネージメント・アドバイザー宋文洲氏は、日本人と中国人の違いついてこんな印象を持っているという。

 中国人経営者として初めて東証1部に上場を果たし、中国オフィスを開設するなど、日本と中国の双方でビジネスをしてきた。13億の人口を抱える巨大市場と安価な労働力を求めて、中国に繰り出す日本企業は多いが、ビジネスのやり方の違いに戸惑うといわれる。しかし、宋氏は日本人と中国人の間で「それほど大きな違いを感じない」という。

 宋文洲氏 ソフトブレーンマネージメント・アドバイザーの宋文洲氏

 むしろ「中国から学べるところがあるとしたら、国家や企業に依存しないで、個人として世界へ出ていくこと。差別や誤解があっても、わたしはここで生きていくんだ、という本当のプライドが日本には必要だと思う」

 12月7日、NECが開催した「C&Cユーザーフォーラム」に登場し、三井物産戦略研究所中国経済センター所長の沈才彬氏と、中国と日本のビジネスの違いについて話した。

まだまだ中国経済は未熟

 5年連続で10%を超える経済成長を続ける中国――さまざまな数値に表れる中国の経済発展は目覚ましい。しかし宋氏は「日本が中国に負けるという評論家もいるが、過大評価だと思う」と言う。数値に表れる中国と、生活者の視点では大きな隔たりを感じるからだ。

 「戦争以来、中国はずっと谷の底にあった。最近になって、本来占めるべき正しいパーセンテージになってきただけ。あまりに貧しいこところからのスタートだから、ちょっと頑張れば向上するというのが現状。それに、勝ち負けの問題じゃないよね」

 昨年末ごろから、中国経済は過熱かどうかという議論が始まっているものの「生活者から見れば、まだ苦しい。成長を実感できていない」というのが宋氏の本音だ。上海の総合株価指数もここ2年で5倍以上というすさまじい成長も「北京オリンピックが終わるまで政府は冷やさないと、市民が足元を見ている。中国経済を信頼しているのではなく、上がると思っているから買っているだけ、下がると思えば急落する」と話す。

 中国が日本に取って代わり「世界の工場」と呼ばれていることにも「最初はタオルや靴下から始めて、10年前に電機製品もやりたいと思うようになり、5年前になってやっと車やTV、コンピュータをやれるようになった。非常にレベルの低い工場からやってきたところ」。中国はまだ加工工場にすぎず、未熟だという。

有能な中国人は日本企業が嫌い

 日中ビジネスマンの違いについて問われた宋氏は「21年も日本にいるから、経営者として使う場合は日本人の方が好き」と答える。「信頼関係も労使関係も長く持てる。悪く言えば使いやすい」からだ。「中国人は隣の給料が1万円高いだけですぐ辞める」。むしろ中国オフィスを立ち上げる方が、正直大変だったと振り返る。

 ただ、日本企業にとって中国でビジネスをする際に問題となるのは、有能な中国人は日本企業を嫌いに思っている点だ。あいまいな評価しか行わないため「働いても働かなくても給料は変わらない」と知っているのだ。

 「新しい市場でいち早くシェアをとろうと思ったら、現地の有能な人間を雇うのが鉄則。一番効率の良い商売のやり方を考えなきゃ」。この点さえおさえていれば「実際は、日本人も中国人も大きな違いを感じない」

       1|2 次のページへ

Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆