超優良大企業も油断できない人口減少 2008年はキャリア変革の年に【年末年始特別企画】コミュニティーリーダーが占う、2008年大予測

日本経済の急変動は加速している。この変化の要因は人口減少であり、中国をはじめとする、もはや途上国ではない国々の台頭である。悲観的になる理由はないが、超優良大企業といえどもこのままでは存続できない。

» 2008年01月01日 08時00分 公開
[郡山史郎,ITmedia]

 21世紀に入ってから、日本経済の急変動は加速している。戦後の奇跡の復活、世界第二の規模の巨大化、バブルの崩壊、失われた10年――などは、すべて明治維新と同じような遠い過去のように思われる。いまの日本経済は成熟しきったようで、これまでに経験したことのない新しいパラダイムの中へと突き進んでいる。

 この変化の内的要因は人口構成であり、外的要因は中国をはじめとする、もはや途上国ではない国々の台頭である。

 外的要因はさておいて、日本の人口に注目すると、高齢化、少子化のもたらすワイングラス形人口構成がいよいよ末期的になっている。この不気味なきのこ雲の影響が日本経済を根本から変えようとしている。国の大借金、恒常的な国家予算の赤字、地方経済の破綻、格差問題、年金不足、医療費高騰など、人口の減少を無視した過去の国民行動のつけが1人1人に重くのしかかってくる。

 もちろん、悲観的になる理由はない。日本は世界でも希なる平和で裕福な国であり、国民の生活水準は群を抜いている。日本人として生まれ、日本で暮らしている幸せは何物にもかえがたい。これは、就職に例えれば、給料が高く、オフイスが快適で、仕事の内容が面白く、厚生施設が整っている超大企業の社員になっているようなものである。もちろん、国民である権利は誰にも侵されないから、リストラなどはない。

 ただ、この超優良大企業はこのままのかたちでは存続できない。

 なぜなら、新入社員が多くは入ってこないからである。では外部から、といっても、移民を中途採用して成功した例はない。解決方法は、いまいる人たちを年齢にかかわらず活用することである。幸いにして、日本人は長生きする。年をとっても勤労意欲は衰えない。日本国という大会社には定年はない。いつまで働いても文句は言わない。

 減少しつつある人口のもとで、少数の人口で運営する日本経済の新しいパラダイムへとスムースに移行させるには、すべての年齢の人が、年齢にかかわりなく、力いっぱい働くことが大切である。もちろん、働ける人は80歳でも90歳でも楽しく働く。若い人たちと、高年齢者が一体になって、それぞれの長所を発揮し、短所を補う。2008年はこのような大変革のきっかけになる年のように考える。

本当のキャリアプランは、将来が一番大切で、現在がその次、過去はどうでもいい。2008年はキャリア元年である。年齢による差別、それは年功という名の逆差別であるが、人々は「それを忘れ始めた」ということを、新しい年を迎えるにあたって、展望予測としたい。

郡山史郎氏が主催するエグゼクティブ・コミュニティー

キャリアコミュニティー

あなたにとって仕事とは何ですか? 元ソニー経営陣で、現在日本で唯一のビジネスマンのためのエージェンシーを経営する郡山史郎が、「仕事を生きる」をテーマに、キャリアと人生について指南します。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆