11月12日、「Oracle OpenWorld 2007 San Francisco」がダウンタウンのモスコーニセンターで本格開幕した。午前の基調講演には、フィリップス社長とロズワット執行副社長が登場し、Oracle VMをはじめとする一連の新製品群を披露した。
Oracleは、かねてから噂されていた仮想化ソフトウェア、「Oracle VM」を同社の創業30周年を祝う年次カンファレンスで発表した。
米国時間の11月12日、4万2000人が事前登録した「Oracle OpenWorld 2007 San Francisco」がカリフォルニア州サンフランシスコのダウンタウン、モスコーニセンターで本格開幕した。午前の基調講演には、チャールズ・フィリップス社長とデータベース製品の開発を統括するチャック・ロズワット執行副社長が登場し、Oracle VMをはじめとする一連の新製品群を披露した。
Oracleは2002年、Oracle9i Real Application ClustersのLinuxサポートによって「Unbreakable Linux」をぶち上げて以降、エンタープライズへのLinux浸透を後押ししてきた。昨年のOracle OpenWorldでは、「Oracleの成功はLinuxの成功に大きく依存している」(ラリー・エリソン会長兼CEO)とし、Linux自体のサポートに乗り出すことを明らかにした。
Oracle VMは、オープンソースのハイパーバイザー技術であるXenをベースとし、Oracle Enterprise Linuxとスタック化して提供されるのが特徴。OracleデータベースとOracle Enterprsie Linuxに最適化されており、他の仮想化環境に比べて3倍以上の効率性を実現するほか、Linux、データベース、ミドルウェア、そしてアプリケーションという、統合された「Oracleスタック」の一部として同社からサポートされるという。
早速、AMD、Dell、HPのほか、ファイバーチャネルアダプタのEmulexやストレージのNetAppらがOracle VMへのエンドースメントを寄せている。一方、仮想化ソフトウェアのリーダーであるVMwareは、Oracle VMのあおりを受け、この日、株価が8.4%下落した。
Oracleは、4年前のOracle OpenWorld 2003 San Franciscoにおいて、gridの「g」を製品名に冠したOracle Database 10gを披露した。あれから4年が過ぎ、エンタープライズ向けのグリッド技術は、需要の変化にも柔軟に対応でき、IT資源を有効活用できる、今すぐ使える技術として浸透した。
グリッド技術が、比較的安価なサーバマシン(ノード)を並列的に接続する「スケールアウト」の手法で拡張性や高い可用性を実現できるのに対して、Oracle VMは、1台のx86サーバを複数台に見せる仮想化技術だ。2つの技術を組み合わせることで、企業のデータセンターは、さらにコスト効果が高く、かつ変化に追従できる柔軟なシステムを構築できるという。
Oracle VMは、今週14日から同社のWebサイトで無償ダウンロードできるようになる。24時間365日のサポートはシステム単位で課金され、2CPUまでが年間499ドル、CPU無制限は年間999ドルとなっている。
Oracle VMが企業のCIOの課題に対処するものだとすれば、CEOが切実に望んでいるビジネスプロセスの統合だ。
今年4月に発表された「Oracle Application Integration Architecture」(AIA)は、Oracle Fusion Middleware SOA Suiteを基盤とし、ビジネスプロセスに基づいてOracleのさまざまなアプリケーションスタックから「最良の」機能を選択し、結び付けることを可能にするためのフレームワークだ。
同社は、買収で手に入れたさまざまなアプリケーションを統合する「Oracle Fusion Application」を2008年に出荷するとしているが、そこに至るまでの成果物を先出ししたものといえる。
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