グローバルなデリバリーモデルにより、高度な技術を安価に提供するオフショアリングサービスで躍進を続けてきたインドIT産業。今後ますます大手ITベンダーの進出が本格化するインドに迫った。
1947年にイギリスから独立したインドは、国内に28もの州と11億5千万の人口を有し、バラモンを頂点としたヴァルナ(カースト制度)が現在も社会を規定する複雑性を抱えた国家だ。ヒンディー語を連邦公用語とするも、千種以上の少数言語を持つインドでは、混乱を避けるために公用語に英語が加えられたことが、欧米市場に進出できた一因とされる。
NASA技術者の10分の1、米国の医師の3割がインド人といわれ、マイクロソフトやオラクルの従業員の3割、IBMでは15%、アクセンチュアで21%の社員がインド人だという。文化の保守性と国際的な柔軟性を併せ持つのもインドの姿といえるかもしれない。
インドIT産業の売り上げは2006年度で478億ドルに達し、27.8%もの成長率と、GDP比率も前年の4.5%から5.4%に上昇している(図1)。中でもタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)、インフォシス、ウィプロなどのSWICH(※1)と呼ばれる上位企業が高い成長率を示す。07年3月末時点の売り上げでは、TCSが1863億ルピー(約4600億円)、ウィプロが1494億ルピー(約3700億円)、インフォシスが1315億ルピー(約3250億円)となり、いずれもこの5年間で35〜40%の成長率を維持している。
※1 インドIT企業のトップ6社、サティヤムコンピュータサービシズ、インフォシステクノロジーズ、タタコンピュータサービシズ、ウィプロリミテッド、コグニザントテクノロジーソリューションズ、HCLテクノロジーズの頭文字
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明治学院大学 経済学部准教授