しかし今日、導入しようとするツールが会社全体のIT標準に合致し、既存のインフラに適合するかどうかを見極めるソフトウェア評価プロセスにおいて、CIOの役割はますます重要性を増している。
BPMは現在も、財務部門から導入されるケースが多い。だが、この技術は急速に拡散しており、CIOがその膨張をコントロールすべきだ。全社レベルのBPM導入を主導したいと考えるCIOに、ブラウン氏は次の3つのポイントをアドバイスする。
1.トップダウンすべてのチーフエグゼクティブと部門長を財務部門のBPMシステムにリンクせよ。彼らには最新の数値を知る権利があり、それらの情報をベースにビジネスの状況を把握しなければならない。そのうちエグゼクティブたちは、配下のスタッフにもデータへのアクセスを可能にしたいと考えるようになるだろう。
2.ボトムアップ業務BPM導入の機会を探せ。例えば、BPMは小売店舗のマネジャーが品揃えや店内販促の効果を測定するときに役立つ。言い換えれば、店舗の効率性を向上させ、在庫、利益率、資産などのローカルマネジメントを改善することが可能だ。
3.信頼財務部門に対してデータとレポーティングシステムの一貫性を保証せよ。一部のBPMシステムはユーザーがExcelスプレッドシートをローカルで保存することを禁止し、中央で一元的に管理することでデータの一貫性を保証している。ファイルやデータを一元管理すれば、「異なるバージョンの真実」が発生することを回避できる。そしてCFOや財務部門の信頼を勝ち得ることができれば、ミッションクリティカルな財務データを囲い込む固いガードを緩めることも可能になるだろう。
どの部門からBPMを導入するかはさておき、導入にあたってしばしば見られる共通の失敗は、このソフトが必ず正しい業績レポートと数値を出すと思い込んでしまうことだ。BPM導入の意思決定が下された後に、本当のハードワークが始まる。つまりソフトをインストールする前だ。
最大の課題は、どういったKPI(主要業績評価指標)が正確に業績を反映できるか明確にすることだ。指標がむやみに多くても混乱を招く。エレベーションズ信用組合がBPMの利用を開始したとき、KPIを10から2つに絞り込んだ。上級エグゼクティブたちは、どのように預金や貸付を評価すべきか、十分に時間をかけて検討した。
「CPMを成功させるには、最初の決定事項に時間をかけなければならない。すなわち、“正しい指標はなにか?”ということだ。どう評価すればよいか分からない数値がたくさん出てきても混乱するだけだ」とブラウン氏。大企業はKPIの決定にあたって、コンサルタントの意見を聞くだろう。中堅企業の場合、「上級マネジメントチームがどこかの部屋に集まり、自分たちのビジネスの本質と重要な指標について、2日くらい時間をかけて真剣に検討する必要がある」と同氏は言う。
システムがインストールされたら、それぞれの部門で利用方法をトレーニングしなければならない。もしそれまで各部門が独自に業績評価の指標を持っていた場合、この点はきわめて重要だ。これまでの基準とまったく異なる数値や評価を目にすることになるからだ。
「われわれは現在も、各グループでトレーニングセッションを続けている」とモートン・グローブのサンダース氏は語る。
モートン・グローブでは2年間にわたってBPMのバグと取り組んできた。例えば一部のレポートは、販売部門向けに数値の背景を明確にするためにフォーマットを変更する必要があった。同じレポートを2人のスタッフが同時に実行しないようにチェックイン、チェックアウトのポリシーを設定する必要もあった。
それでもBPM導入のメリットは余りあるものだ、とサンダース氏は断言する。
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明治学院大学 経済学部准教授